カネミ油症・次世代調査中間報告 子や孫 倦怠感や頭痛4割 「健康状況に悪影響」

自覚症状について

 長崎県などで1968年に発覚したカネミ油症事件を巡り、全国油症治療研究班(事務局・九州大、辻学班長)は、油症認定患者の子や孫ら次世代に特化して初めて実施した健康影響調査の中間報告をまとめた。本県を含む全国の388人(子322人、孫66人)が回答。倦怠(けんたい)感がある、頭痛・頭が重いと答えた人がそれぞれ4割に上るなど、次世代が多様な症状を抱えている実態が明らかになった。
 8日、被害者団体が参加する油症対策委員会(オンライン)で報告した。被害者の子や孫は、油症の主因ダイオキシン類などに汚染された食用油の影響を、母体を通じて受けた恐れがある。しかし大半は未認定で、医療費の助成など救済策はない。
 調査は国が費用を拠出。昨年8~11月、認定患者に調査票を送付し、子や孫に渡してもらう形で実施した。辻班長は、倦怠感や頭痛など自覚症状を抱える次世代の多さについて、「健康状況に悪影響を及ぼしている」と指摘した。
 目やにが多いとの回答は2割。月経がある女性207人のうち3割以上が月経の量について異常を訴えた。皮膚症状は、乾燥肌、かゆみについてそれぞれ4割前後。先天性疾患は、20人(5.2%)が「早産・低体重」。歯牙(しが)欠損、口唇口蓋(こうしんこうがい)裂や心臓の壁に穴が開いていた人も複数いた。
 研究班は回答者に新年度も継続調査する方針。油症検診も受けてもらって客観的なデータを収集し、来年2月、同年夏に報告する見通し。辻班長は「次世代の認定につながるような調査結果を出していきたい」と述べた。


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