ヒュンダイ改め“ヒョンデ”が12年ぶりに日本市場復帰へ。EVとFCVの2車種をオンライン販売

 2009年12月に本邦の乗用車市場から撤退した韓国の自動車メーカーであるヒョンデが、12年ぶりに日本市場への復帰参入を果たす。また、2月8日に同発表を行ったヒョンデ・モビリティ・ジャパン(旧現代[ヒュンダイ]自動車ジャパン)は、BEVバッテリー電気自動車の『アイオニック5』、ならびに水素を燃料に用いるFCV燃料電池車『ネッソ』の投入を明らかにしている。

 ヒュンダイ改め“ヒョンデ”として12年ぶりに日本の乗用車市場に参入する韓国のブランドは、世界各国でビジネスを拡大し、販売車両のデザインや性能と品質など、さまざまな面で進化を重ねてきた。

 また、同社はモータースポーツにも積極的に取り組み、WRC世界ラリー選手権のトップカテゴリーであるラリー1にメーカーワークスとして参戦している他、そのサポートカテゴリーであるラリー2ではカスタマーカーを供給。ツーリングカーにおいてもWTCR世界ツーリングカー・カップや各国のTCR選手権向けにカスタマーTCRマシンの開発、供給・サポートなどを行っている。

 さらに電動分野では、2021年にスタートし今季からFIA ETCR eツーリングカー・ワールドカップへと名称が変更されるピュアETCRに初年度から参戦。ヒュンダイ・モータースポーツNのヴェロスターN ETCRがデビューシーズンに初勝利を飾った。

 世界規模で高まる環境配慮への意識や、ひとりひとりが個人の価値観を重視した商品選択を行う傾向の高まりを日本市場への再参入の背景に挙げた同社は、『Smart Experience of Mobility』『Sustainable Mobility』『Freedom in Mobility』という3つのモビリティ戦略を掲げる。

 ひとつめの“Smart Experience of Mobility”は、実店舗を持たずに車両選びから試乗予約、見積もり、注文、決済、配送情報の確認まですべてをオンラインで完結させるもので、「One ID」によるシームレスな独自のプラットフォームが用意されるという。また、ZEVに特化したリアルな体験拠点として、試乗や購入相談、点検、整備をワンストップで提供するヒョンデ・カスタマーエクスペリエンスセンターが2022年夏に神奈川県横浜市に開業予定だ。

 ふたつめの“Sustainable Mobility”は、アイオニック5とネッソの“ZEVゼロ・エミッション・ビークル”2車種に絞った車種展開を指す。

ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 Nラリー1) 2022年WRC第1戦モンテカルロ
アウグスト・ファーフス駆るヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR(右)

■東京・原宿に期間限定のPOP UPスペースがオープン

 BEVのアイオニック5は、ジョルジェット・ジウジアーロによる1974年型ポニーコンセプトをオマージュしたモデルだ。EV専用に開発されたプラットフォーム『E-GMP』を基に3メートルにおよぶホイールベースによりゆとりのある室内空間を実現するとともに、72.6kWhの大容量バッテリー搭載モデルでは1充電の航続距離618kmを実現する。
 
 一方、独自のFCEV専用システムを搭載したネッソは、1回約5分の水素充填で約820kmの航続距離を実現。エクステリアには丸みを帯びた石=“リバーストーン”からインスピレーションを得た流麗なデザインが採用されている。価格はネッソが776万8300円(税込)、アイオニック5は479万~589万円(税込)だ。

 Freedom in Mobilityで目指すのは、カーシェアプラットフォーム『Anyca(エニカ)』との協業による移動の自由の提供だ。ヒョンデは、クルマを所有だけではなくシェアリングというかたちでユーザーにモビリティライフを楽しんでもらうビジネスモデルを、パートナー企業である株式会社DeNA SOMPO Mobility、株式会社DeNA SOMPO Carlifeとの協業により展開していくとしている。

 この他、ブランドコミュニケーションのひとつとして東京・原宿に、ヒョンデのZEVから生まれるさまざまなライフスタイルを体感できるポップアップスペース『Hyundai House Harajuku』が2月19日(土)から約3カ月にわたって開設されることがアナウンスされた。

ヒョンデ・アイオニック5のインテリア
3メートルにおよぶホイールベースにより、ゆとりのある室内空間を実現したヒョンデ・アイオニック5
ヒョンデ・ネッソ(NEXO) 走行イメージ
ヒョンデ・ネッソのインテリア
燃料電池車のヒョンデ・ネッソ

© 株式会社三栄