【新型コロナ】「濃厚接触」園長が特定する仕組み 横浜の保育現場に期待と戸惑い

感染を防ぐため、おもちゃの消毒を行う保育士ら=横浜市内の保育園(同園提供)

 新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、横浜市は今月から、保育所などで感染が確認された場合に園長らが「濃厚接触者」に相当する園児や職員を特定する仕組みを始めた。逼迫(ひっぱく)している保健所業務を代行する「時限的措置」で、保育現場からは「休園期間が短縮できる」と期待する一方、「安全が保証できない」と戸惑う声も聞かれた。

 「市と連絡が取れるようになり、動きが速い」-。

 市内にある認可保育所の園長は、保健所に代わり市が窓口になったことで安堵(あんど)の表情をみせた。これまで臨時休園時は連日、夜間まで待っても保健所から連絡がなく「正直、精神的負担が大きかった」と明かす。この保育所では玄関で保護者が送り迎えし、おもちゃの消毒など「最大限の感染対策」を徹底してきた。それでも職員や園児に感染者がたびたび発生し、今月初旬までに計3回の休園を余儀なくされたという。

 今回の時限的措置の導入により、感染者が出た際の対応は格段にスピードアップされた。ただ、園長らが特定するのは濃厚接触者に相当する「感染の可能性のある人」で、保健所が特定する「濃厚接触者」とは厳密には異なる。そのため、特定した対象者には自宅待機を「お願い」するしかなく、「感染するリスクがあることが伝わらず、園児を祖父母に預けようとした保護者もいた」と話す。

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