感染「緩やかに減少」も 接触増なら1日3500人に 長崎大が予測

本県の陽性報告数と今後の予測

 長崎大の有吉紅也教授は9日、県内の新型コロナウイルス流行第6波について「感染者数は緩やかに減っている」との見方を示しつつ、市民同士の接触頻度が増えれば再び急拡大するシミュレーションを明らかにした。接触頻度が3月1日から1.5倍に増えた場合、4月下旬には1日の新規感染者が約3500人に達すると推計した。
 同大熱帯医学研究所疫学検討班が各種データを解析した。記者会見した有吉教授と砂原俊彦助教は、第6波を乗り切るには接触頻度を減らしたまま、3回目のワクチン接種を早急に進めるべきだと指摘した。
 市民の接触頻度について同班は、1月4~10日に比べ、同11~20日は44%減、まん延防止等重点措置が長崎、佐世保両市に適用された同21日以降は61%減まで抑制されていると推定。オミクロン株の感染力は強いが、現在の対策で感染拡大に歯止めがかかっていると分析した。
 今後、対策の緩和などで接触頻度が増えた場合に懸念される“第7波”をグラフ化し、複数例示した=図参照=。接触頻度が1.5倍に増えるタイミングが「3月1日」だった場合、4月下旬には1日の新規感染者が一気に約3500人に跳ね上がる。「3月16日」であれば、ピークは5月中旬の約2100人。さらに「4月1日」まで接触頻度を抑えられれば、ピークは6月中旬の約950人で、波が幾分緩やかになる可能性があるという。
 こうした予測について有吉教授は「そこまで増える前に(行政が)何らかの手を打つと思う。実際には起こらないはず」とも付け加えた。
 推計では、3回目のワクチン接種が1、2回目と同程度のペースで進むと仮定した。有吉教授は「3回目接種が普及すると抑え込める」と述べ、米ファイザー製を2回接種した人が3回目にモデルナ製を打った場合、オミクロン株に対する発症予防効果が8割近くまで上昇するという英国の研究結果を紹介した。


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