TOPIXと日経平均どちらが人気?日本株のインデックスと将来性を解説

2022年1月以降米国株をはじめ株価が世界的に不安定な動きをしています。しかし、長期的にみれば世界の株価は伸び続けていきます。金利や為替、災害、経済、地政学リスク、投資家心理などにより振れ幅があるので株価は上がったり下がったりするものの、世界でみると人口が増えて、生産性があがれば経済が発展していくからです。

世界経済の発展を見込んで投資を行う場合、投資信託を通じて全世界の株を丸ごと買うこともできますし、日本株、日本を除く先進国株、新興国株など、アセットクラスごとに分けて持つこともできます。今まで複数回にわたり、全世界株、先進国株、米国株など様々なインデックスを紹介してきましたが、今回は日本株のインデックスについて一緒に学んでいきたいと思います。


日本株のインデックスを知ろう

日本株のインデックスは、TOPIX(東証株価指数)と日経平均(日経225)が有名です。

TOPIX(東証株価指数)

TOPIX(東証株価指数)は正式名称[「Tokyo Stock Price Index」の略で、日本の東証1部に上場する約2,200銘柄を網羅した株価指数(インデックス)です。昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100とし、その後の時価総額を指数化しています。日本経済の動向を示す代表的な経済指標です。

ここ10年ではアベノミクスの影響もあり13%と高い平均リターンがでていますが、20年でみると5.3%と、米国株や全世界株の成長と比べると少しおとなしい数字になっています。

TOPIXに連動した投資信託は複数存在しますが、特に信託報酬が0.15%と安く、純資産額が400億円を超える投資信託は以下の2つです。(信託報酬等及び純資産額は2021年12月31日時点)

eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)
・信託報酬等: 0.15%
・純資産額:43,836(百万円)

ニッセイ TOPIXインデックスファンド
・信託報酬等 :0.15%
・純資産額:44,576(百万円)

また、2022年4月には東京証券取引所が再編されます。現在の東証1部、 2部、マザーズ、ジャスダックの4市場が廃止され、業績や時価総額などを基準に、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場になります。そのため、これまではTOPIX構成銘柄=東証1部上場銘柄でしたが、4月以降は市場区分とTOPIXが切り離されます。

今後プライム市場に入る銘柄の中には新しくTOPIXに追加される銘柄も出てくるでしょう。さらに、今までTOPIXに組み込まれていた銘柄も、流通時価総額が100億円未満のものは、2022年10月から段階的にTOPIXの構成ウェイトを少なくし、2025年1月には除外されます。この変動により指数への影響が気になりますが、100億円未満の銘柄のウェイトは1%以下です。段階的な移行の中ではほとんど影響を受けないと言われているので、大きく心配する必要は無いでしょう。

日経平均株価(日経225)

日経平均株価は、日本経済新聞社が東証1部に上場する銘柄の中から代表的とする225銘柄を定めている株価指数のことで、日本の株式市場の動きを表す代表的な指数として知られています。

選定の基準は「業種のバランス」と「流動性の高さ」で、定期的に入れ替えが行われていますが、TOPIXが2,100銘柄以上から構成されているのに対し日経平均は225銘柄なので、1社あたりの増減の影響が大きくなります。また、時価総額加重平均を用いて時価総額の高い銘柄の影響を受けやすいTOPIXと比べると、 単純な255銘柄の株価平均である日経平均は株価の高い銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。

分配金利回りも安定的に1%を超えており、1.35%(2022年01月27日時点)となっています。日経平均に連動した投資信託で、純資産総額が高く、信託報酬が0.15%と安いファンドは以下の通りです(信託報酬等及び純資産額は2021年12月31日時点)。

ニッセイ 日経平均インデックスファンド
・信託報酬等:(税込) 0.15%
・純資産:30,865(百万円)

iFree日経225インデックス
・信託報酬等:(税込) 0.15%
・純資産:28,840(百万円)

eMAXIS Slim国内株式(日経平均)
・信託報酬等:(税込) 0.15%
・純資産:19,124(百万円)

強さの比較「NT倍率」って何?

NT倍率とは「日経平均株価をTOPIXで割る」ことで算出される指標のことです。2022年1月27日終値時点では14.23倍となります。両者の頭文字からNT倍率と呼ばれ、日経平均とTOPIXの相対的な強さを表しています。

日経平均株価は株価の高い「値がさ株」の影響を強く受けるため、NT倍率が大きくなれば輸出関連やハイテクなどの「値がさ株」が上昇していると考えられます。
反対にNT倍率が小さくなればTOPIXに影響を与える時価総額が大きい内需セクター株、つまり国内に強い事業基盤を持つ銘柄や銀行株などが上昇していると考えられます。

TOPIXと日経平均株価、人気はどっち?

インデックス投資はできるだけ市場平均に沿った投資をするべきという考え方があります。市場の銘柄を網羅している方が数が多い分、1銘柄あたりの増減の影響が比較的小さくなり、リスク(価格の振れ幅)が小さくなる傾向があるからです。

実際に、投資信託シリーズのeMAXIS Slimシリーズで両ファンドを比べた場合、約2,200社に分散するTOPIX連動ファンドは純資産は43,836(百万円)に対し、225社の日経平均に連動するものは19,124(百万円)となり、集まっている金額からもTOPIXに人気が寄っていることがわかります。

日本株の将来性は?

日本は人口が少なくなりますが、一方で生産性はまだまだ上がっていきます。IT技術の発展、5Gやその先の6G、量子コンピュータや人工知能などにより生産性がより上がれば、経済拡大の可能性もあります。

米国や全世界の成長スピードと比べて成長が遅い可能性はありますが、日本人が日本株へ日本円で投資する場合には為替変動のリスクは極めて限定的と考えられます。また、2022年1月現在のTOPIXのPER13倍〜14倍程度と、世界全体が20倍を超えているのと比べて短期的な視点では割安という見方もあります。

10年、20年先のことは誰にもわかりません。とはいえ全世界的に見れば、この先も人口が増え一人当たりの平均的な生産性が増えていく可能性は高いでしょう。その成長の果実を自分のものにするのが投資と考えた場合、世界の一旦を担う日本をポートフォリオに入れておくことを考えても良いでしょう。

その場合、全世界株式インデックスファンドのように日本を含む全世界を網羅的に組み込むか、日本株、先進国株(日本を除く)、新興国株などに分けて持つことで、売却の際にはそれぞれの変化に合わせて細かく出口戦略を組むことが可能です。

例えば、現金が必要になり投資信託の売却を考えた時、新興国の市況が悪く、日本の市況が良ければ、日本株から売却し、新興国株はしばらく持っておくということも可能になります。

次回は、新興国株のインデックスファンドについて紹介します。

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