母子死亡の浦添多重事故1年 運転手の脳に損傷、因果関係立証に時間 沖縄県警捜査

 沖縄県浦添市の国道330号伊祖トンネル付近で、暴走したダンプカーが中央分離帯を乗り越え、車計5台が絡む多重事故から11日、1年を迎えた。事故では、那覇市の女性(当時26歳)と息子(当時1歳)が亡くなるなど、計5人が死傷した。県警はダンプカーの男性運転手(61)を、過失運転致死傷の容疑などを視野に捜査を進めている。
▼【写真と動画】事故発生時の様子
 事故は昨年2月11日午後1時すぎ、宜野湾市方面から国道330号を南下していたダンプカーが浦添市の伊祖トンネルを抜けた後に前方を走る車両に接触、速度を維持したまま、中央分離帯を乗り越え、鉄柱を倒し反対車線に進入した。ダンプカーのブレーキ痕は確認されず、車体から事故を誘発させる異常は見当たらなかった。
 捜査関係者によると、回収したダンプカーの走行速度を記録するタコグラフには事故当時の速度記録がなかった。男性運転手は調べに、「(事故当時の)記憶がない」などと話している。また、男性運転手は脳に損傷が見られることから、事故当時、意識レベルが低下していた可能性が高いという。脳の損傷と事故との因果関係の立証に時間を要している。
 県警は男性運転手と産廃運搬業者の立件を視野に、慎重に捜査を進めている。
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