〈2022北京五輪〉スノーボード・ハーフパイプ女子 冨田姉妹 決勝で真価 二人で高め合い 最高の笑顔

 大舞台で持ち前の勝負強さを発揮―。スノーボード女子ハーフパイプの妙高市出身、冨田せな(22、チームアルビレックス新潟)が2度目のオリンピック、北京五輪の舞台で大技を成功させ、1998年の長野大会で正式種目になって以降、五輪同種目日本人初のメダル「銅」を獲得した。今大会の県勢ではメダル第1号となった。上越勢のオリンピックのメダルは、2014年ソチ大会のジャンプ団体、清水礼留飛(28、雪印メグミルクスキー部、新井高出)の「銅」以来2人目。妹・るき(20、チームJWSC)も5位入賞を果たした。

スノーボード女子ハーフパイプ決勝、競技後、3位のせな(右)と5位のるき、冨田姉妹がそろって笑顔(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

◇姉せな勝負強さ攻めて大技連発

 決勝は予選上位12人が出場し、3回滑ってベストスコアで争われる。せなは前日の予選を5位で通過し、この日の決勝は8番目の滑走。1回目から果敢に攻め、最後に持ち技のフロントサイド1080(横3回転)を決めて86・00の高得点をマーク。1回目を終えた時点で2位に付けた。2回目も最後に同技を成功させ、より高さも出て、88・25と点数を伸ばした。

 3位で迎えた3回目はより上位を目指し、最初にフロントサイド1080をもってきたが、着地でミス。後のスタートの2選手が自身の2回目の得点を上回れなかったため、メダルが確定した。

スノーボード女子ハーフパイプ決勝、冨田せながグラブを入れた、高さのあるエアを連続して決める(写真:ロイター/アフロ)

 競技後、テレビ中継のインタビューに、「びっくりしている。1本目から決められたのがすごくでかくて、2、3本目と攻められた。3本目はこけたけど、チャレンジできて良かった。こうやって結果が出て、すごくうれしい」と、〝せなスマイル〟を浮かべた。

 河北省張家口市にある同スキー場では2019年12月のワールドカップの公式練習で転倒し、脳挫傷(びまん性軸索損傷)の大けがを負った。後遺症が残り、医師からは「滑らせたくない」と言われている。今大会も公式練習や前日の予選でその時のシーンが頭をよぎり、「ちょっと怖くなってしまった」と話している。

 気持ち的にも追い込まれた状態となったが、両親が「崖っぷちに強い」という勝負強さを発揮し、決勝は1、2回目と技を成功してみせた。4年前の平昌大会の8位に続き、2大会連続の入賞ともなった。

◇姉妹でライバル妹るきも入賞

 小さい頃から互いに「負けたくない」と一番身近なライバルとして高め合ってきた妹のるきは予選6位で決勝は7番目の滑走。1、2回目とエアの前後で転倒したが、3回目は持ち技のバックサイド900(進行方向とは逆向きに踏み切り横2回転半)を決めるなど、全ての技をきっちりとまとめて80・50点。前回の姉を超える5位に入賞した。

 るきは競技後のインタビューで、姉のメダルを「自分のことのようにうれしい。ずっと一緒に戦い、一緒に出るのも夢だったから、すごくうれしい」と話し、自身の結果には「自分が今やれることを全部やった結果なので、素直に受け止めたい」。4年後を見据え、「負けず嫌いなので、姉より上の順位を」と持ち前の気持ちの強さを見せた。

 せなは「二人で一緒にずっとやってきて、この舞台で滑られて良かった」と話し、「オリンピックに出るのにたくさんの方に支えてもらい、メッセージを頂いたので、とても力になった。感謝の気持ちを伝えられたら」と、日本にいるたくさんの応援者や仲間に感謝の気持ちを表した。

 ▽スノーボード女子ハーフパイプ決勝 (1)クロイ・キム(米国)94・00(2)ケラルト・カステリェト(スペイン)90・25(3)冨田せな(チームアルビレックス新潟)88・25(4)蔡雪桐(中国)81・25(5)冨田るき(チームJWSC)80・50

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