国境の島や復帰50周年の意味を問い直す 与那国島を描く2作品 特集上映「国境の島にいきる」で公開

沖縄本土復帰50周年の節目に、日本最西端の与那国島を舞台とした映画作品「ばちらぬん」「ヨナグニ~旅立ちの島~」が、特集上映「国境の島にいきる」と題して劇場公開されることが決まった。4月30日から沖縄で先行上映され、5月7日からは東京で上映される。その後、順次全国での上映となる。

かつてはアジアの交易の中継地として栄えてきた与那国島。交流から生まれた文化と日本や沖縄本島とも異なる独自の言語を持つ与那国島は、1972年の沖縄の日本本土復帰とともに、日本の最西端に位置する国境の島になった。それから50年の島の移り変わり、人々の暮らしの変化、時代をへても変わらないものを浮き彫りにする。島に生まれ育った若き監督が描く「ばちらぬん」と、ヨーロッパからやって来た映像作家と写真家の視点で描かれる「ヨナグニ~旅立ちの島~」が、国境の島や復帰50周年の意味を問い直す。

「ばちらぬん」は、与那国島が故郷である東盛あいかの監督・主演作品。与那国島の日常や祭事を取材したドキュメンタリーと、花、果実、骨、儀式などををモチーフに幻想的に描かれる世界が交差しあう作品となっている。現実とフィクションが溶け合い、ジャンルの枠を超えた映像によって、島につむがれてきた歴史、文化、人々の記憶がスクリーンに映し出される。2021年のぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞し、東京国際映画祭でも上映された。

「ヨナグニ~旅立ちの島~」は、高校のない島を舞台に、卒業前の中学生たちを取材。学校生活や豊かな自然と戯れる放課後、思春期の本音がもれる会話を通して、多感な10代の日々が映し出される。そして、失われつつある島の言葉「どぅなん」や伝統文化がゆっくりと若い世代へと受け継がれる様子が描かれる。イタリア出身の映像作家アヌシュ・ハムゼヒアンと写真家ヴィットーリオ・モルタロッティのコンビが監督を務めた。「スコットランドを思わせるような曇り空の美しい島」と表現する与那国島を、新しい視点から見せる。

公開に際し「ばちらぬん」の東盛監督は、「人に島に愛された映画『ばちらぬん』が与那国島から海を渡り全国へ。初監督作がここまでこれた事を感謝致します。本作は沢山の追い風を受けて進み始めます。島の生命力溢れる映画を多くの方に観てもらいたいです」とコメントを寄せている。

特集上映『国境の島にいきる』
4月30日(土)より沖縄・桜坂劇場での先行上映
5月7日(土)から東京・K's cinema、アップリンク吉祥寺、5月13日からアップリンク京都、大阪・第七藝術劇場をはじめ全国ロードショー

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