富田翔,八神蓮,登坂淳一etc.出演!劇団おぼんろ 『パダラマ・ジュグラマ』末原拓馬 公演直前インタビュー

劇団おぼんろ第20回本公演『パダラマ・ジュグラマ』の再上演、いよいよ2022年2月13日より「Mixalive TOKYO(ミクサライブ東京)」内「Theater Mixa」にて上演される。

劇団おぼんろ、最多数の客演を迎えての公演に挑戦!
物語は普遍的であるというメッセージを体現すべく、単なるダブルキャストではなく、役柄固定のミックスキャストでの公演に挑戦。見るたびに異なる組み合わせで紡ぎ出される物語は参加者たちにどう写るのか。おぼんろ史上最大の動員数を記録した「パダラマ・ジュグラマ」待望の再演。この挑戦、主宰の末原拓馬さんのインタビューが実現した。

ーー『パダラマ・ジュグラマ』、2014年初演とのことですが、この物語を考えたきっかけや初演時の思い出やエピソード、楽しかったことや苦労したことなどお願いいたします。

末原:確固たる衝動がありました。『パダラマ・ジュグラマ』というのは、小さな嘘が奇跡を起こしてしまう物語です。一番最初に思いついたときは、嘘をつく側に寄り添っていたように思います。ものすごく不幸な境遇の相手に、自分本意の邪な気持ちで嘘をつくけれど、その嘘が、相手を救ってしまう物語です。物語を膨らましていくうちに、その、「信じてしまう側」のキャラクターが生命と感情と秘密を持ち始めました。
「仲間」についてもテーマになっているのですが、これは、実はすごくパーソナルな心持ちに根差しています。どういうわけだか、僕は生まれた時から孤独が隣り合わせに感じながら生きてきました。いつも周りにたくさんの人がいてくれるのにもかかわらず、です。
執筆した当時、おぼんろ に出演してくれる仲間たちと正式に「劇団員」という関係性ではありませんでした。末原拓馬という名前は少しずつ世の中に知っていただくようになっていた時期でしたが、僕は、僕ではなくて、「僕ら」でいたかった。仲間たちへの切実なラブレターでもありました。こんなこと言うのは、これが初めてかも分かりませんが。

ーーこの作品を再演しようと思った理由をお聞かせください。

末原:この物語を永遠に続けていく責任が自分にあると感じたからです。僕は脚本家ですが、物語にはたくさんの大切な人たちのD N Aが入り込んでいます。僕を育ててくれた両親、姉、出会ってきた友人、そして執筆期間中に関わっていた全ての人、そして、語り部のみんな、スタッフのみんな、参加者のみんな、みんなの一瞬の命をかき集めて、『パダラマ・ジュグラマ』の中に封じ込めたのです。物語は生き物です。呼吸をさせて、動かしてやらないと死んでしまう。僕らにとって伝説めいた立ち位置にある作品だから、再演することへの躊躇はありました。でも、この物語は、育て続けないといけない。100年後、全世界で古典と呼ばれる物語にするのが僕らの計画です。
それから、父の死も大きく関係しています。『パダラマ・ジュグラマ』のサウンドトラックを製作した末原康志は僕の実の父です。後にも先にも、彼より尊敬する人間は僕にはいません。8年前、物語のあらすじを伝え、ともに話し合いながら作曲作業を依頼し、スタジオに入り父の友人ミュージシャンたちとともにレコーディングをしました。今でも忘れられない、美しく心躍る時間でした。その父が、昨年7月に帰天しました。父は死んで音楽になりました。この音楽を、これからもこの世界で大音響で鳴り響かせ続けることが自分の役割だと思いました。父がいかに天才作曲家であったのか、僕は自分の命ある限り証明し続けていこうと思っています。

ーー稽古に入っていることと思います。稽古の様子やキャストさんについてお願いいたします。多彩な顔ぶれが揃いましたね。

末原:様々なキャリアを持つプロフェッショナルたちで座組みを作りました。白羽の矢を、当てずっぽうに空高く放つようなやり口で仲間集めをしたのです。そもそも僕らおぼんろは外界との交流をほとんどしない団体でしたので、ゲストが多いことへの緊張感がなかったといえば嘘になります。けれど、稽古場で物語について語り合い、それぞれの感性を集めあい混ぜ合い信じあった結果、いくつもの新たな可能性に手が届いています。元NHKアナウンサーの登坂淳一さんは、今回が舞台に初挑戦となります。世界中のニュースを調べ、全国に向けて伝え続けていた淳一さんの世界に対する考え方は素晴らしく研ぎ澄まされていて、今回、改めて戯曲を読解するときに素晴らしい刺激を僕にくださいました。富田翔は溢れ出る人間力で座組を支え、物語に感情と爆発力を与えてくれました。八神蓮は物語にとって重要な純粋さを与えてくれました。岩田華怜は並外れた物語への没頭力で作品の輝きと絶望を顕在化させてくれました。塩崎こうせいは堅実さと冒険心で稽古というものを崇高なものに仕立て上げてくれました。絶大なる信頼をおく劇団員さひがしジュンペイ、わかばやしめぐみ、高橋倫平は、新しく加わる仲間に物語の力を伝え続け、そして、自分たちも新たなる冒険をするために日々挑戦してくれました。この、自分を含む9人を、パダジュグ座として誇りに思います。

ーーここを観て欲しいポイントなどをお願いいたします。

末原:語り部のみならず目を向けて欲しいのはスタッフワークです。おぼんろのアートワークは、様々なクリエイターたちの総力戦になります。舞台美術、音楽、衣装、ヘアメイク、音響、照明、映像、全てのセクションが、それぞれアーティストとして真剣に作品に向き合ってともに戦ってくれています。『パダラマ・ジュグラマ』という物語に集った幾つもの感性の集合をぜひご覧ください。

ーー読者へのメッセージをお願いいたします。

末原:人生においてひとつの体験が人生を左右することはあります。僕は、おぼんろ という場所が、そんなひとつの体験を送ることができると考えていますし、そうあれるように絶え間ない努力を続けてきています。おぼんろの物語の中に潜り込むことは、人生における重要な体験のひとつです。それは、劇場という場所でお会いすることもそうだし、配信という形でのご視聴でも同じことだと思っています。たった8日間の公演なので、出会えるかどうかは運と巡り合わせ、そして少しの勇気によるものだと思っています。どうか、思い立ったが吉日とばかり、軽はずみに参加していただきたいと心から願います。その出会いが、僕らとあなたにとって、生涯の在り方を左右するものになる可能性を、僕はいつまでも信じ続けています。ご来場、心よりお待ち申し上げております。

<パダラマ・ジュグラマあらすじ>
何もかもがうまくいかない世界がありました。すべてのことは右肩下がり、良かったものは悪くなる、大切な物に手を伸ばしても届きもしない、何も願わず、他人のことは考えない。大切なのはそういうこと。その世界では、環境汚染のため、自然界に食べられるものはなく、誰もがいつだってお腹を空かしています。
ある日、他人のことなど知らぬ存ぜぬの邪な心を持ったトシリモという名前のキツネが、仲間と共にカイダムと呼ばれるニワトリ工場に盗みに入ります。
しかし、なんということでしょう。忍び込んだカイダムの中の様子は彼らが想像だにしなかった恐ろしい残酷な場所だったのです。数多くのニワトリたちが運命に絶望する地獄のような世界の中で、キツネたちは、一羽のヒヨコ、タックに出会います。タックはどういうわけか自らの運命をまったく知らず、キツネたちに心底懐いてしまうのでした。そして、トシリモが自らの都合のために話した根も葉もない嘘をまるっきり信じ切ってしまったことから、この物語は思わぬ方向へと動き始めます。
生き延びるためにメンドリのフリをしているオンドリのリンリン、弟を救うために葛藤しながらも盗みを働こうとするキツネのメグメ、ニワトリたちを管理するカイダムの工場長ジュンバ。2匹と2羽と1人の運命と決断が、複雑に絡み合って起こった、ひとつの小さな奇跡。おぼんろ が全身全霊をかけて紡ぎ出す、切なく美しい物語。

<概要>
劇団おぼんろ 第20回本公演
『パダラマ・ジュグラマ』
【作・演出】末原拓馬
2022年2月13日(日)~2月20日(日) 全14ステージ
Mixalive TOKYO Theater Mixa
[出演]
タック役:末原拓馬(劇団員)
トシリモ役:富田翔/八神蓮
リンリン役:高橋倫平(劇団員)/塩崎こうせい
メグメ役:わかばやしめぐみ(劇団員)/岩田華怜
ジュンバ役:さひがしジュンペイ(劇団員)/登坂淳一
※役柄固定のミックスキャストで公演。
キャスト出演スケジュールは後日発表。

おぼんろ公式サイト: https://www.obonro-web.com
おぼんろ公式Twitter:@obonro_new
公演に関する問い合わせ: おぼんろ制作部 obonro.info@gmail.com
劇場に関する問い合わせ:https://www.mixalivetokyo.com/
主催:劇団おぼんろ/株式会社講談社/株式会社ホリプロインターナショナル

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