市川海老蔵合同取材会 六本木歌舞伎 2022『ハナゾチル』(『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』より) 見どころなど大いに語る!

六本木歌舞伎2022『ハナゾチル』がいよいよ2月18日より開幕する。2015年六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事』から始まり、2017年、2019年と着実に回を重ねてきたが、今回は三池崇史が監修として参加し、演出は日本舞踊藤間流八世宗家藤間勘十郎。出演は東京オリンピック開会式にも出演した市川海老蔵、そして歌舞伎初挑戦のA.B.C-Z 戸塚祥太。
題材として取り上げられるのは、河竹黙阿弥の名作『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』。通称は『白浪五人男』で知られているが、石川五右衛門や鼠小僧次郎吉と並んで古くから知られている5人の盗賊が主人公。この作品が上演された文久2年(1862年)には麻疹が流行り、当時100万人都市であった江戸の4分の1に当たる24万人以上が罹患、死亡したとされている。麻疹大流行の10年前の嘉永6年(1853年)には黒船来航、安政2年(1855年)には安政江戸地震が起きるなど混沌とした時代であった。この時代に「明治の近松、我が国のシェイクスピア」と言われた河竹黙阿弥の名作『青砥稿花紅彩画』が生まれたのである。
歌舞伎音楽とロック音楽を用いながら、弁天小僧菊之助がたっぷりと歌舞伎世話物狂言の醍醐味を見せる場面をはじめ、時空を超えて、現代社会を騒がせる強盗団と幕末の江戸市中において人々の耳目を集めた盗賊一味とが織りなす物語。
公演を間近に控えた市川海老蔵さんの合同取材会が実現した。

まず作品について市川海老蔵より説明があった。今回の題材は『青砥稿花紅彩画』、通称『白浪五人男』。
タイトルの『ハナゾチル』については「5人は悪の華が咲くイメージです。海で白波が引けていくところに潔さや儚さを感じます。桜が必ず儚く散ることを知りながらも、咲くことを恐れない当時の若者の生き様に“白波”と“桜”が重なって『ハナゾチル』となりました。そして古典を新しい角度で見ていただけるようにしたいです」と語る。
共演の戸塚祥太との共通点は「私の星と戸塚さんの星が似ているんです。似た星の人は見たことがないので、恐らく、どこか似ているんだろうなと思います。自分で、自分のことが気づかないことはいっぱいあります。戸塚さんを見ながら『こういうこともあるかもしれない』と気がつくこともあるかもしれません。また、ジャニーズの方々は情熱があります。自分がどこまでできるのか諦めない人が多い。歌舞伎は演出方法が独特なのですぐには出来ません。何十回も稽古している姿は胸を打たれます」と感銘を受けていた。
また、今回の公演については「戸塚さんは基本的に戸塚さんとして現れます。歌舞伎の部分も非常にわかりやすく、観やすくなっています。私は弁天小僧の役なので、ゆすりたかりをしている、でもバレます。バレているのに堂々としている。普通は『すみません』と謝りますよね。ところが『え?!君たち、私のこと知らないの?教えてあげるよ』と悪いことをしているにも関わらず、『説明するから聞いてよ』と言います。そうして皆を唖然とさせて堂々と去っていきます。そういうのは古典ならではですね。初めてご覧になる方でも楽しんでいただけると思います。実は古典はそういう部分が面白いのです。」と歌舞伎初心者にも楽しめることをアピールした。
そして、この六本木歌舞伎の演目選びについては「一番最初に『地球投五郎宇宙荒事』、その後に『座頭市』『羅生門』、と新しいタッチのものでしたが、今回は古典をベースにしようと考えました」と作品選びのポイントを語った。また過去公演の観客の反応については「EXシアターということもあり、最初からの盛り上がりが印象的で、スタンディング・オベーションもあり、お客様と一緒に盛り上がれる空間でした」と振り返る。

また第一回目から関わっている三池監督については「監督はすごく優しい方です。映画の撮影が終わった後にスタッフさんが家に帰ってビール飲んで『美味しいな、いい仕事したな』と思えるようにする。そういうことまで結構気を遣っていらっしゃる方です。監督の作品はどちらかというと暴力的な映像が多いですが、それとは全く逆に、監督の中に繊細な部分があり、中に流れている優しさをいつも感じます。演出されている時も、対応の仕方が優しく、見ていていつも学びがあります。三池監督はそういう魅力がある方です。」と語る。
「この『白浪五人男』はいわば不良の話です。監督の作品では『クローズZERO』などが代表作ですが、そういう意味ではいいアドバイスを頂けたら嬉しいと思います」と語る。また、演出を担う藤間勘十郎については「勘十郎さんとは一緒にお芝居をしていまして、10年以上の付き合いです。彼は音楽的なセンスがあり、歌舞伎の音楽に対してもバランスをすごく大事にしていらっしゃる。彼は歌舞伎以外の作品もやっていますので、脚本を読む力がある方です。脚本からどういう演出にしていこうかという彼なりの世界観がありますね。今回、私は台本も演出もノータッチです。いつもは色々やるタイプですが、今回は『お任せしよう』と思います。古典の要素が多いので、どのような演出になるか期待しています。」と藤間勘十郎に信頼を寄せる。

作品のイメージについては「『東京卍リベンジャーズ』です。戸塚さんが『白浪五人男』の時代にタイムリープして『え?!どういうことなの?』と迷います。恐らく、昔の人の心構えなどを見て現代に持って帰って生きる、ということになっていると思います」とコメントした。
先の会見ではアクロバットの要素も入れたいと語っていた市川海老蔵。それについては「最初、博物館で戸塚さんが泥棒をするのですが、この場面で、パルクールをやって欲しいなと思っています。軽やかに切り抜けていくような感じになったらいいなと思います」とアクロバットに期待を寄せる。また、見どころについては「弁天小僧が女から男にかわる場面と、立ち廻りの音楽である『どんたっぽ』で始まる屋根の上で行う、最後に登場する立ち廻りです」とポイントを語る。また花道を作るかどうかについては「感染対策をしっかりした上で花道を作り、お客様に歌舞伎らしさを感じていただけたらと思います」と言及した。
東京公演の後は福岡、大阪公演、千秋楽は3月21日。

<配役>
市川海老蔵:弁天小僧菊之助
戸塚祥太:浜松屋跡取りの宗之助、現代の強盗団の一員
※過去と現代の時空を超えた物語のため、2役となっている。

<会見レポ記事>

<概要>
日程・会場:
[東京]
2022年2月18日〜3月6日 EXシアター六本木
[福岡]
2022年3月11日〜3月13日 福岡サンパレスホテル&ホール
[大阪]
2022年3月18日〜3月21日 フェスティバルホール
出演:市川海老蔵、戸塚祥太(A.B.C-Z)、中村児太郎、市川右團次、他
脚本:今井豊茂
演出:藤間勘十郎
監修:三池崇史
製作:松竹株式会社
協力:全栄企画株式会社/株式会社ちあふる
HP:http://roppongikabuki4.com
市川海老蔵撮影:金丸雅代

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