ニューヨーク仕事人名鑑 #55 由水南 さん

困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。


毎年1万人が俳優を目指し世界中からやってきて、毎年1万人が去ると言われるエンターテイメントの聖地ニューヨーク。この地でエンターテイメントの最高峰といわれるブロードウェーで数少ないアジア人俳優として活躍する由水南さん。ここに至るまでの彼女の並々ならぬ努力と人々を惹きつける彼女の生き方のメソッドについて話を聞いた。

“Celebrate Every Victory” で乗り越えてきた数々の挫折

きっかけは帝国劇場で初めて観たミュージカル『回転木馬』だったそうだ。当時11歳だった少女は、歌、ダンス、演技が詰まった華やかなミュージカルの世界に魅了され、俳優という夢を志す。その夢を叶えるべくニュージャージー州の大学の演劇科に入学後、マンハッタン区の演劇学校に編入。本格的にブロードウェー俳優を目指し、オーディションに明け暮れる生活が始まった。初めての役を得るまでに88回ものオーディションを受けたという由水さん。途中で逃げ出してしまいたくなるような先の見えない状況下で、彼女がモチベーションを維持できた秘訣を伺うと、「人と比べないこと。比較対象はいつも自分自身で、今日の自分が昨日の自分からどう変わったか、自分の中の成長にだけ焦点を当てていました。どんなに些細でも成長していたらそれを『勝利』と思い喜び祝います。“CelebrateEvery Victory” の繰り返しでここまで来ました」。

途中、ビザの問題で日本に帰国せざるを得ない状況や言語や人種の壁という困難にも屈せず、夢に挑み続けた結果、2015年渡辺謙主演の『王様と私』で念願のブロードウェーデビューを果たした。その後も『ミスサイゴン』や『マイフェアレディ』といった人気作品に出演。『マイフェアレディ』では唯一のアジア人女優という異例の抜擢で、後に続くアジア人俳優たちに夢を与えた。

可能性を切り拓く第一歩は“SHOW UP”

昨秋、初の著書『今日から始めるSHOW UPの習慣』を出版した由水さん。「SHOW UPは、可能性を広げるためにできる究極のアクションだと思っています。直訳すると『参上する』という意味ですが、どんな些細なことでも『行動する』ことがSHOW UPです。オーディションに行くのもその一つで、まずオーディションに行かなければ役を掴む可能性はゼロになります。とりあえずオーディションにSHOW UPすればその可能性はゼロではなくなるわけです。何事も全ては行動しないと始まらないし現実は変わらないのです。」とタイトルに込められた思いを語ってくれた。内容は由水さんの半生とともに、読者がどのページを開いても今日から実践できるSHOW UPの方法を紹介するものとなっている。

また自らの体験から「可能性は無限大であること」を実感してきた彼女が独自に考案したワークショップや講演会などを行う「YUプロジェクト」の活動も10年目に突入。「ニューヨークが与えてくれた貴重な出会いや学びをGift(贈り物)と呼んでいますが、独り占めせず皆さんに共有していきたいと思っています。また今回出版した本もいつか英語版を出版し、言語の壁を超えてたくさんの人に届けるのが今の夢です。」と語ってくれた。

由水南さん

ブロードウェー俳優

来米年: 2002年
出身地: 石川県金沢市

好きなもの・こと: 旅行・新しい物事にトライすること

特技: 新しい物事に飛び込むこと

2023年秋、『今日から始めるSHOW UPの習慣〜選ばれなかった私のそれでも折れない心の作り方』を出版。紀伊国屋書店ニューヨーク本店、Amazonにて販売中。オーディブル版はこちらから。由水南オフィシャルサイト: minamiyusui.com/jpAmazonでの購入: amzn.to/3SCoYpn

*(日本在住の方向け)

Amazon Japan (書籍・Kindle・オーディブル):

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