大正期以来の「浦賀」改称へ 警察署移転で利用者混乱 来年4月「横須賀南署」に

京急久里浜駅近くにある現在の浦賀警察署

 横須賀市南東部を管轄する浦賀警察署が来年4月、「横須賀南警察署」に改称される運びとなった。

 一昨年秋に京急線浦賀駅そばから京急久里浜駅そばに移転した際は、大正末期以来、百年近く続く伝統のある名前を残した。しかし、名前に引っ張られ場所を間違える人もおり、利用者の混乱を避けるため異例の決断に至ったという。

 県警などによると、浦賀署は1878(明治11)年、横須賀署の浦賀分署として発足。大正最後の年、1926年6月、分離独立した。

 約2.5キロ離れた現在地に移転したのは2020年10月。旧庁舎の老朽化が進み、浦賀駅近くで代替地を探したものの見つからなかったという。警察署がなくなって治安悪化を懸念する声に応え、旧庁舎の近くには交番も整備した。

 この時も名称変更は検討されたが、江戸時代の浦賀奉行所やペリー来航で知られ、造船業も栄えた歴史ある地。「浦賀」に対する地元の愛着は強く、変更に伴う事務コストなども考え、そのまま残した。

 ただ、実際に移転すると「まぎらわしい」と苦情が出たほか、場所を間違える人もいたという。

 名称変更をめぐる議論では「久里浜署」案も検討したが、“浦賀派”の反発も予想された。既に「県立横須賀南高校」や「市立横須賀南図書館」などがあり、なじみのある「横須賀南」を採用したという。

 県内54署で名称変更は、横浜市青葉区が誕生した1994年11月に「緑北署」が、「青葉署」に変わって以来。県警は今年中に県議会に条例改正案に提出する。

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