長与で農産物を移動販売 スマート農業実証事業 集荷や情報発信も

新鮮な農作物を積み、町内を回る移動スーパー=長与町三根郷

 JA長崎せいひや西彼長与町などが加わる「長崎かんきつスマート農業実証コンソーシアム」(15団体、個人)の多機能型移動スーパー「ひまわり号」が1月から、町内2地区を回って販売に取り組んでいる。新鮮な農産物を中心に品ぞろえし、販売だけでなく農作物の集荷や専用アプリで商品情報の発信も行う。
 農水省が2021、22年度に実施する「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の一環。生産、出荷、流通・販売の3分野10項目で実証実験中で、多機能型移動スーパーは同JAと町、アプリを開発した製造業のデンソーウェーブが中心となって取り組んだ。
 同JAの農産物直売所「じげもん長与」を起点に軽車両2台が百合野地区(月曜)と、長与ニュータウン(水曜)を回る。いずれも昭和40年代に開発された団地で、住民の高齢化や買い物難民の増加が目立つという。
 1月12日、長与ニュータウンの拠点についた移動スーパーにはミカンなどの果樹や野菜、総菜、弁当、精肉などの生鮮食料品、一般食品などが並んだ。ある50代主婦は大根、シュンギクなど季節の野菜をたくさん買い込み、「これまで夫の休みに車で直売所へ行っていた。私は運転しないのでうれしい」と話した。
 販売のない時は農家の集荷も担うことができるほか、専用アプリを使えば移動中の位置やルート、スケジュールの確認が可能。今後は目玉商品の情報も発信していくという。
 同JA生活福祉部生活課の森英治課長は「コロナ禍で買い物に出にくいご時世。車を運転しない人のために販売機会が増やせるほか、免許返納などで出荷が難しい高齢生産者のためにもなる」と語った。


© 株式会社長崎新聞社