6年目の覚醒なるか? 鷹16年ドラ1田中正義がゴーグルを着用し始めたワケとは

12日の紅白戦で好投を見せたソフトバンク・田中正義【写真:福谷佑介】

キッカケになったトレーナーの一言「眼の機能にも伸びしろがある」

12日に行われたソフトバンクのキャンプ2度目の紅白戦。投手陣でアピールしたのは、白組の先発を任された2016年ドラフト1位の田中正義投手だった。2回を投げて1安打無失点2奪三振。寒空のもと、力感のないフォームでストレートの最速は152キロをマークした。

初回いきなり先頭の三森を152キロで中飛に打ち取ると、続く野村勇に対しても152キロで右飛に。栗原には中前安打を許したものの、盗塁死で初回を結果的に3人で抑えた。2回は先頭の中村晃を四球で歩かせたものの牽制でアウトに。甲斐、明石は連続三振に仕留めて、2回を無失点に封じた。

この日、マウンドに上がる田中正はいつもと雰囲気が違っていた。目元には見慣れぬゴーグルがかけられていた。前日に届いたばかりのもので、この日のウォーミングアップから着用。「かけたからといって何が特段良くなるわけじゃないと思う」と言いつつも「体も動いて、やってみる価値はあるんじゃないか」と今後も続けていく考えだ。

キッカケは千賀滉大らと行った宮古島自主トレ中にあった。同行していたトレーナーから「眼の機能にも伸びしろがあるんじゃないか」という助言を受けた。「焦点を合わせる力だったり、目からの情報で体は動くと聞いたので、やらない手はないと思った」と、帰福後にビジョントレーニングなどを行い、ゴーグルを作成することにした。

「情報がズレていると体の反応も変わると思う」

普段からコンタクトレンズをしている田中正。このゴーグルでより補正されることにより「よく見えています」という。「正しい情報を得るのが大事なんじゃないかな、と。情報がズレていると体の反応も変わると思う。体がうまく動いてくれたらコントロールも良くなるかな」。自身のパフォーマンスアップに繋がりそうであれば挑戦してみる。今季に賭ける思いはこんなところにも表れている。

この日のピッチング内容を「投げてるボール1球1球自体は良かったと思うので、もっともっと精度を上げていけたらいい。力感なく投げられているので状態としてはいいと思います」と振り返った田中正。今季は先発に挑戦しており、目指すは開幕ローテ入りだ。千賀、東浜巨、石川柊太に続く4番目以降の先発は決まっておらず、ここからオープン戦にかけての競争となる。

「なんとか6人に入れるようにやっていきたい。そこを目標に1月からやらせてもらっているので達成したいですね」と語っていた田中正。5球団が競合した2016年ドラフト1位右腕も、期待され続けて、はや6年目。雌伏の時を過ごした大器が、ようやく覚醒の日を迎えるか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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