温暖化対策に活用を 全国760地点の気象データ、千葉大学が40年分公開

千葉大学大学院社会科学研究院の倉橋秀史教授らは、全国760地点の気象データを過去40年分にさかのぼってグラフで参照できる「気候変動気象データ提供システム」を無料公開した。各地方自治体の気候変動の状況がひと目で分かる内容で、自治体の温暖化対策策定などに活用できる。

千葉大学によると、システムが公開しているデータは気象庁が観測した1981年から2020年までの平均気温、年間降水量、1時間降水量の最大値。調べたい市町村のコードを入力すると、参照すべき観測所の候補が表示され、観測所を選んでコードを入力すれば、その観測所のデータが入手できる仕組み。このデータはグラフ化されており、自治体が地域気候変動適応計画で参照するグラフとして使用できる。

2021年のグラスゴー気候合意で2100年の世界平均気温上昇を産業革命前に比べ、1.5度以上にしないことが世界共通の目標となった。しかし、地球の平均気温は1度程度上昇しており、温室効果ガスの排出削減だけでなく、気温上昇への適応が地域の重要課題に浮上している。

データに欠損がある観測所を除いた709地点の平均値では、40年間で平均気温が1.26度上昇したほか、年降水量は184.2ミリ、1時間降水量の最大値は9.9ミリ増えていた。気温が低下傾向にある観測所は4地点しかなく、年降水量が減少傾向にある場所も83地点にとどまっており、気温上昇と降水量増加の傾向が顕著になっている。

参考:

【千葉大学】全国760地点の過去40年間の気候変動の状態が見える「気候変動気象データ提供システム」無料公開

© 大学ジャーナルオンライン