長崎県知事選3候補に「聞きたい」 人口減「起死回生の一手は?」 子育て「家計計算したことある?」

 中村法道さん(71)、大石賢吾さん(39)、宮沢由彦さん(54)。県民は長崎県のリーダー候補のこんな考えを知りたいそうです-。長崎新聞は知事選(20日投開票)を前に、候補者3人に対して「聞きたいこと」「言いたいこと」を情報窓口ナガサキポストのLINE(ライン)で募った。世間の関心事を探る「聞きたい」編には、人口減や石木ダム、新幹線など県政の重要課題に関する質問や見解を求める声が多く寄せられた。県民が3候補に対し、さまざまなテーマで“聞き足りない”と感じている様子も垣間見えた。

 LINE登録者約2千人に9日までの4日間で尋ね、10代以下から80代までの男性118人と女性80人の計198人が回答した。

■流れ変えて

 回答を分析すると、人口減問題が2割超で最も多かった。本県から出ていく人数が、入ってくる人数を上回る「転出超過」が全国最悪レベルで進む。長崎市の50代会社員男性は「このままでは衰退するだけ。起死回生の一手を」と流れを変えるアイデアを聞きたがる。松浦市の40代会社員女性は「長崎市だけでなく他の市も考えて。過疎化で若者がいなければ活気もない。どうにかならないか?」と切実だ。一方、長崎市の20代公務員男性は「他の都道府県と限られた(人口の)パイを奪い合う構図はこっけい。人口が減少しても持続可能な地域をつくる方向に舵(かじ)を切っては」と持論をつづり、見解を尋ねた。

■具体的案を

 次に多い質問は、県と佐世保市が東彼川棚町で進める石木ダム建設関連。両市町以外からも声が寄せられ、南島原市の40代主婦は「メリットやデメリットは。工事が本当に必要か。代案はないか」と聞く。3候補はこれまでに賛否いずれかを示したが、より具体的な理由を問う声は多く、3人の説明が浸透していない状況が浮かび上がる。

 今秋に部分開業する九州新幹線長崎ルートも大きな関心事。佐賀県が全線フル規格化に反対する中で「どう理解を得るのか」(大村市の10代男子学生)など、具体的な「交渉力」を測ろうとする声が複数あった。

■人に投資は

 長崎市の40代主婦は生活者の視点で、3候補にこう投げ掛ける。「政治は簡単に子どもの数を増やしたがるが、収入が多くても子が3人いたら貯金はできない。細かい家計の計算をしたことがありますか?」

 教育関連では佐世保市の20代女性が「教員不足で、子どもが不安なく学べる環境が失われている。タブレット端末など物ばかり充実させても、使いこなせる人がそろわないと意味がない」と指摘する。「機械やデジタルにではなく、人への投資を考えている?」

 前回知事選の投票率は過去最低の36.03%。長崎市の60代自営業男性は、低投票率の理由を尋ねつつ「誰が知事でも困らない長崎になった」と冷めた様子だ。

 一方で同市の20代公務員女性は、自らが新型コロナの濃厚接触者になったことで「昨日までの他人事が、自分事に変わる経験をした」と明かす。県政もどこか遠くの出来事のように感じるが、実は生活と密接につながっている。そこで女性は3候補に尋ねる。「県政が自分事となったきっかけは何ですか?」(三代直矢)

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 この調査は無作為抽出で民意を反映する世論調査とは異なります。


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