首都圏の新築マンション価格高騰でバブル期超え…背景を専門家が解説

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“首都圏マンションの価格高騰”について解説しました。

◆首都圏の新築マンションがバブル全盛期以上の過去最高を記録!

今回、「首都圏マンション価格高騰」について解説するのは、不動産ITベンチャー「TERASS」の代表取締役をつとめる住宅の専門家でNewsPicksのプロピッカー・江口亮介さん。

以前、江口さんはこのコーナーで、東京オリンピック・パラリンピック後も都内の不動産価格は「下落することなく、むしろ上昇する」と話していましたが、その予想は的中。現在、首都圏マンションの価格は高騰しています。

新築マンション(首都圏)の平均金額で言えば、バブル期1990年の6,123万円に比べ、2021年は6,260万円と過去最高を記録。

特に都心のタワーマンションや高級物件と言われる高価格帯の物件が人気だとか。ただ、昨年末あたりから高止まりしている傾向もあるそうで、「2021年はずっと(価格が)上がっていたので、ようやくひと段落ついたというところ」と江口さん。キャスターの堀潤は「どうしてもバブル期超えと聞くと警戒してしまう。出口戦略の感触は」と尋ねると、江口さんは価格がこのまま落ち着くことを望みつつ、そのためには「今の社会情勢……コロナや金利の関係もあり、さまざまなものを調整しながらやっていく必要がある」と言及します。

◆価格高騰の理由、さらには首都圏マンションが人気の理由は?

では、なぜ首都圏のマンションの価格が上がっているのか。江口さんは「価格が上がるということは、欲しい人がたくさんいる。一方で供給、売りたい人が少ない。そのアンバランスさが相まって価格が上がっている」とその理由を語ります。

現在、コロナ禍によりステイホーム、テレワークが広がり、家で仕事をする人が増加。そこで自宅に仕事ができるスペースがない人は、より広い家を求めますが、そうなると家賃が上がってしまうため、いっそのこと購入を、と考える人が増えていると背景を説明。

一方、供給に関しては、新築マンションで言えば今は土地が少なく、以前ほど供給量が減少傾向に。また、中古マンションもコロナ禍で内見を敬遠する人が多く、売りたい人が少なく、こうした「需要増・供給少」という状況が価格高騰に拍車をかけています。

また、現在は特に首都圏のマンションが人気を博しており、「その理由は2つある」と江口さん。1つは、テレワークで地方移住者が増えているものの完全に地方で仕事ができる人はまだまだ少なく、テレワークをしながらも出社する人が大多数。そうなると、やはり郊外よりも都心に住みたい人が多く、なおかつ新築マンションは防音性に優れていたり、共用部分にテレワークスペースがあるなど、テレワークに適している物件が多いことも好まれている要因です。

もうひとつは「パワーカップルの増加」。パワーカップルとは、共働きで世帯年収が1,400万円以上の世帯のことで、年収が多ければ多いほど価格の高いマンションも購入可能です。ちなみに、1,400万円の世帯年収があれば7,000万円以上の物件も優に買えると言います。

臨床心理士のみたらし加奈さんの周囲には、最近マンション購入を検討している人が多いと言います。そして、そうした人たちは主にSNSで情報を入手しているそうで、「今までマンション・不動産購入は遠い世界の話だったが、身近なものになってきている。私もそのうちのひとり」と自身も興味を持っていることを明かします。

◆注目すべきは"金利”、今後暴落することはあり得るのか!?

ここで、みたらしさんからは「中古で買ってリノベーションする方法もあるが、(マンション購入にあたって)お得な方法は?」とストレートな質問が。

これに江口さんは、ポイントのひとつとして"相場”、さらには"お宝物件”に関して言及。マンションは通常、相場価格が公開されるため、俗に言うお宝物件はあまりなく、注目すべきポイントとして挙げたのは「場所」。

将来価格が上がっていく可能性がある場所がおすすめで、それがどういう場所かといえば「人口が増えていく場所」。例えば、再開発が行われている場所などは今後人口が増える可能性が高いものの、江口さんは「再開発していればどこでも良いというわけではない。まずは専門家に相談を」と注意を促します。

最後に、今後のマンション事情に関して、江口さんは「金利に注目すべき。そもそも今、不動産購入が人気なのは、住宅ローン金利がとても安いから」と解説。

バブル時代のいわゆる変動金利は5%だったのに対し、今は平均0.5%程度。これは6,000万円の物件を35年ローンで買った場合、月々の支払いが5%だと約30万円に対し、0.5%では約15万円と大きく変わります。

その上で「バブル期はそんな金利でも(不動産が)売れていたが、今は金利が安いから買いたい人が多い。そうなると不動産を買う理由が(以前とは)違っているのかもしれない」と江口さんは言いつつ、「バブル期は急に金利を止めたこともあって暴落したが、今は金利を上げようと思っている人はあまりいない。なので、バブル期のような暴落は考えにくい」と推察。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは、現在マンションを購入する層は比較的に年齢が高めだと思っていたようですが、実際はそうでもなく、江口さんによるとむしろ若い方が増えているとか。「金利が安くなったということは月々の支払いも抑えられ、若いうちから高い金額を借りられるので(マンションを)購入する平均年齢は下がっている節もある」とその理由を話していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

© TOKYO MX