欧州商用車市場7割のシェアを誇る“キャンパー”ベース、『フィアット・デュカト』が国内正式導入

 欧州商用車市場で7割のシェアを持つベストセラーとして君臨し、世界的にも“キャンパー”ベースとして親しまれてきた『フィアット・デュカト』の国内正式導入が決定。新たにFCAジャパン/グループPSAジャパンの正規ディーラー網や、車両架装を専門とする法人など、デュカト専用の販売ネットワークを構築し、2022年下半期からのデリバリーが予定されている。

 今年は2月10~13日に幕張メッセで2年ぶり開催となった日本最大のキャンピングカー・イベント『ジャパン キャンピングカー ショー2022』でお披露目された同車は、活況を呈するキャンピングカー市場からの期待に応えるモデルであり、フィアット・プロフェッショナル部門の商用車として日本に初導入されることが決まった。

 ヨーロッパでは長い歴史を持つ車種として知られ、2020年に誕生40周年を迎えたデュカトは、2020年と2021年にはヨーロッパにおける小型商用車のベストセラー・モデルになり、2020年の世界販売台数は約15万台として2019年比で8%増加。デザインを一新したエクステリア、最先端のインテリア、多彩な快適および安全装備を備えることで、ロングセラーモデルとしての安定性と信頼性を獲得してきた。

 これまで全国のキャンピングカー・ビルダー複数社が輸入モデルとして販売してきた実績があるものの、この正規導入により架装業者へのB-to-B(法人間取引)だけでなく、個人でのビジネスユースにも対応するなど、商用車としての新たな選択肢として加わることになる。

 第3世代モデルの後期型としてデザインが見直されたボディには、大型グリル、新しいスキッドプレート、そしてイタリアのアテッサ工場で製造されたことを示す象徴的なフィアットのエンブレムを装着。高性能なフルLEDテクノロジーを採用した新しいヘッドライトは3つのセクションに分割されており、下部のヘッドライトはLEDライトガイドとして機能することで、デュカトならではのライト・シグネチャーが表現されている。

 本国ではキャビン後部をシャシーフレームとしたトラックベースなども用意され、これまで1万を超えるバリエーションが出荷されたというデュカトだが、2022年モデルとして日本に導入されるのは3種類のバンタイプとなり、標準とそのロングホイールベース版、さらにロングホイールベースに加えてハイルーフ仕様となる3バリエーションが設定された。

 そのうち標準となる“L2H2”のみ全長5413mm、ホイールベースが3450mmとなり、最大積載重量は1645kgに。全長5998mm、ホイールベース4035mmの“L3H2”と、全高240mmアップの“L3H3”は最大積載重量が1540kgとなっている。

標準とそのロングホイールベース版、さらにロングホイールベースに加えてハイルーフ仕様となる3バリエーションが設定される

■シートはキャンピングおよび商用の両方を念頭に設計

 こうしたディメンションの差別化により、L2H2およびL3H2の室内高は1932mm、L3H3の室内高は2172mmとなり、ともにレジャー用レイアウト、商用利用のための効率的ウォークスルー・レイアウトの両方に対応。広い開口部を備えたスライディング・サイドドアと横開きのリヤドアにより、荷物の積み下ろしを容易に行うことも可能となっている。

 また、革巻ステアリングホイールやフルデジタル・コクピット、キーレスエントリー&ゴー機能に電動パーキングブレーキを採用したキャビンは、スマートフォンをワイヤレス充電可能な充電コンパートメントや、2箇所のUSB-A、USB-Cポートに加え、電源コンセントも設置。デザインが見直されたダッシュボードとステアリングホイール、新しいシフトレバーなど現代的な仕立てとなっている。

 その運転席および助手席にはキャプテンシートが採用され、一体型ヘッドレスト、幅が広くなったバックレスト、ダブル・アームレストに加え、高い安定性と信頼性を備えたピボットプレート上に設置されることで、180度回転することが可能に。

 キャンピングおよび商用の両方を念頭に設計されたこのシートにより、車両後方へのアクセスが容易になるほか、完全に後方を向いた状態からは前後にスライドさせることができるため、キャンピングカーとしての使用時にはテーブルとの距離を調整することも可能となっている。

 パワートレインには最高出力180PS、最大トルク450Nmを発生する“MULTIJET3”ディーゼルエンジンを搭載し、スムーズな作動を特徴とする9速オートマチック・トラスミッションを組み合わせる。また、自動調整式電動アシストシステムにより車両のハンドリングがさらに向上し、低速での取り回しや駐車がさらに容易となった。

 また、スピード・リミッターや予期せぬ障害物に遭遇した場合のブレーキ制御(フォワードコリジョンウォーニングおよび歩行者検知付き衝突被害軽減ブレーキ)、クルーズコントロール、レーンデパーチャーウォーニングなどに加え、従来型のミラーを廃止してデジタル処理したリヤビュー画像を表示するデジタル・ルームミラーも装備するなど、商用車カテゴリーでありながら乗用車セグメントに準じるパッシブ・アクティブセーフティ機能を搭載している。

 10.1インチ・タッチスクリーンを備えた新しいUconnectインターフェイス、ナビゲーションシステム、Apple CarPlay/Android Autoなども用意され、ボディカラーは標準ソリッドカラーに加え、2色の特注ソリッド、3色のメタリックカラーから選択可能で、価格は469万円(税込)からとなっている。

公式サイト:https://www.fiat-auto.co.jp/professional/ducato/

最高出力180PS、最大トルク450Nmを発生する”MULTIJET3″ディーゼルにトルコン9速ATの組み合わせ。日本仕様は全車右ハンドル仕様となる

© 株式会社三栄