買い取りサービスに寄付活動も…百貨店で気軽にできるSDGs

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“百貨店のSDGs”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆百貨店としては初の「買い取り・引き取りサービス」

ブランド品など高級感ある商品の販売や丁寧な接客を強みとしている百貨店ですが、近年はサステナブルな活動にも注力。そんな百貨店のSDGsの取り組みを取材すべく、田中は「伊勢丹 新宿店」へ。

7階フロアにある「i'm green」のコーナーでは、既存の百貨店にはない新たなベクトルの事業を開始。それは常設の「買い取り・引き取りサービス」です。

ここでは使用しなくなった衣料品やバッグ、時計などの装飾品の買い取り、引き取りを行っており、多くの品物はリユースをメインに新たな価値を持つ商品へと生まれ変わらせています。

これは百貨店としては初の試みで、三越伊勢丹はその信頼性の高さを活かし、買い取り未経験者がリユースに参加しやすいシステムを構築。そして、循環の活性化を促し、SDGsに大きく貢献しています。

さらには「化粧品容器の回収」の取り組みも実施。店内に専用の回収ボックスを設置し、特定の化粧品容器を回収しており、回収したものはアスファルトのような素材の原材料や一部のブランドでは店頭のディスプレイとしてリサイクルされることも。

◆子ども靴を回収し、靴を履かない世界の子どもたちへ寄付

一方、「西武池袋本店」ではSDGsという言葉が世間に浸透する以前から行っている取り組みがあり、それは「子ども靴の回収」。

2009年からサイズアウトして履けなくなった子ども靴を持っていくと、一足につき子ども服フロアで使える500円割引券を発行。しかも、それらは名前が書いてあってもボロボロでも履ければOKで、サイズも不問。

そして、回収された靴は国際協力NGOジョイセフを通じ、ザンビアの子どもたちへと寄付。砂漠地帯のザンビアでは子どもたちが靴を履いておらず、破傷風や砂漠特有のダニに寄生され、足のケガする子どもも多いそう。それだけに現地の妊産婦の間でこの企画は大変好評だとか。

また、そごう・西武では自動販売機で世界の妊産婦を守る運動を実施。

特定の自動販売機でジュース1本購入するたびに途上国のお母さんや赤ちゃんの命を救う「ホワイトリボン運動」に2円寄付される仕組みになっており、2013年からこれまでに103万円を寄付しています。さらには寄付活動だけでなく、時代の流れに合わせたサステナブルな商品を扱うポップアップショップも定期的に出店しています。

百貨店のこうした取り組みを伺った上で、インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは「環境問題でいうとリサイクルも大事だが、まずは売る量を減らすこと、そして新しいものを使い続け、使い捨てにならないようにすることが重要」と言い、少しずつその方向に向かっていることに喜びます。しかし、その一方で「売る量を減らすと今は(社会が)回らなくなってしまうと思うので、そこをどう解決するかが難しい」と問題点も指摘。

岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんは、「中古という言葉を嫌がる方もいるが、今は考えようによってはリユースならではの良さや魅力が付随されている」と主張。というのも、リユースにはそこに行き着くまでの物語があるとし、「気持ちの問題かもしれないが、物語に価値を感じるという方法もリユースならではの在り方」と論じます。

また、「SDGsは壮大な話に感じるが、こうして身近なところでできることがたくさんある。人々にとって身近な存在である百貨店がこうした取り組みをすることに距離感の面でマッチしている」と一連の取り組みを高く評価していました。

百貨店のSDGsとしては、上記の取り組み以外にも、三越伊勢丹では汚れてしまった衣類を黒染めしてリウェアする試みを実施。なお、これは店頭持ち込みではなく、Webサイトでのみ受付中。また、松屋銀座では過去に使い古したネクタイを名刺入れやペンケースなどにリメイクするイベントを開催したこともあったそうです。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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