先輩も驚く“どっしり感” ロッテドラ1松川、強みは新人らしからぬコミュ力にあり

ロッテ・松川虎生【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

“打てる捕手”として期待のルーキー・松川虎生

まだ18歳とは思えない風格を醸し出し、存在感を見せているロッテのドラフト1位・松川虎生捕手(市和歌山)が攻守に猛アピールしている。井口資仁監督も高い能力を絶賛するルーキーは、「ユニホームを着て、野球をやって、いい日々を過ごせていると思います」とここまでのキャンプを振り返った。

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高校通算43本塁打を放ち“打てる捕手”としての期待が高い。入団前から木製バットを振りこんできた。「いいポイントで打たないと飛ばない。まだまだだとは思いますが、いい形で振れているとは思います。もっと“しなり”も意識して振りこんでいきたいですね」。

バッティングが魅力の松川だが、将来獲りたいタイトルに挙げたのは「ゴールデン・グラブ賞」や「最優秀バッテリー賞」といった“守備のタイトル”だった。

「センターから右方向に強い打球が飛ばせることも自分の持ち味だと思いますし、キャッチャーとしてもピッチャーのいいところを引き出せることが僕の強みかなと思います。コミュニケーションは常に意識して、すごく大事にしています」

中学時代からDeNAドラフト1位・小園健太投手とバッテリーを組んだ。6年間苦楽を共にして築き上げた絆で、3年春には甲子園にも出場。頻繁なコミュニケーションが、どんな結果に繋がるかは熟知している。

キャンプでは、プロの投げるボールに驚く日々だ。「高校生とはキレだったり、コントロール、強さが全然違います」。10日には佐々木朗希投手とブルペンでバッテリーを組んだ。「見たことも、受けたことがないボールだったので凄くびっくりしました」。精力的にボールを受け、各投手の特徴を掴んでいく。

ロッテ・松川虎生【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

先輩投手も感心「キャッチャーらしくどっしりしている」

ブルペンで投球を終えると、バッテリーは歩み寄って言葉を交わす。松川はこの“対話”の時間を大切にしている。

「構え方のアドバイスを受けたり、どんなボールだった? と聞かれるのでそこはしっかりと答えています。先輩たちともコミュニケーションが取れているかなと思います」

松川を相手に投球練習を行った1歳年上の中森俊介投手は、「ボールの調子だったりとか、ちゃんと言ってくれますし、キャッチャーらしくどっしりしているなと思います」と、ルーキーの存在感に感心していた。

キャンプは折り返し点を過ぎた。実戦も始まり、開幕マスクも狙いに行く。「実戦での変化球の見極めだったり、真っすぐを自分の形で捉えることができるかが課題です。ここから競争が始まるので結果を求めて、積極的にやっていきたいなと思います」。

ロッテでは2007年の里崎智也以来、捕手のゴールデン・グラブ賞受賞者は出ていない。正捕手を固めるのは喫緊の課題となっている。「チームとして、同じ方向に向いていかないと頂点は取れないと思います。チームの戦力に、プラスになれるようにしたい」。既に、扇の要としての責任感で溢れた頼もしい18歳が、チームを引っ張っていく。

○松川虎生(まつかわ・こう)2003年10月20日、大阪府阪南市出身。中学では貝塚ヤングに所属し、市和歌山ではDeNAにドラフト1位で入団した小園健太投手とともに3年春の甲子園に出場。夏は和歌山大会決勝で、後に甲子園優勝を果たす智弁和歌山に敗れた。小園と共にプロ志望届を提出し、2021年のドラフト会議でロッテから1位指名を受け入団。身長178センチ、体重98キロ。右投げ右打ち。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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