絶対に覚醒させたい“3年目ドラ1”を4番起用 立浪監督が挑む育成と勝利の両立

練習を見つめる中日・立浪和義監督【写真:小西亮】

16日に新庄ビッグボス率いる日本ハムと対戦も「他所を気にする時間ない」

中日は16日、今季初の対外試合となる日本ハムとの練習試合(北谷)に臨む。話題を集める新庄剛志監督との“新指揮官対決”となる立浪和義監督は「他所のチームを気にする時間はない」とキッパリ。就任時から口すっぱく説く「勝利への執念」と、一丁目一番地の課題である「若手の育成」を両立していけるのか――。ミスタードラゴンズが目指すチームづくりが形となって表れてくる。

練習試合とはいえ、初陣。「若い選手がどのような結果を出してくれるか、ひとつ楽しみ。もちろん競争とは言っているんですけど、最初の試合ですし、まずは思い切ってやってほしい」と期待する。選手にとってはサバイバルの号砲にもなるが「振るい落としって言葉が悪いですよね。若い選手は結果が出なくても、今の自分の力を知る。そっちの方が大事」と言う。

まだまだチャレンジの場。ただ、みすみす負けるつもりもない。誰よりも勝利にこだわってきた指揮官は、すでに勝負師の目に変わっている。「とにかく勝つ姿勢をしっかり作って、明日からやっていきたい」と言い切った。

球界を席巻するビッグボスの存在も、どこ吹く風。「楽しみですよ。久しぶりに会うことになると思いますし、日本ハムがどういうチームに生まれ変わっているかというのもひとつ楽しみ」とは言ったものの、グラウンドでは単なる相手チーム。「ブレーボールしたら、やることは変わらないので、そこはそんなに意識せず」と泰然自若で臨む。

中日・石川昂弥【写真:小西亮】

石川昂弥の4番起用を問われ「そうですね、じゃあ4番にします」

チーム内で醸成していきたい“勝ちグセ”。その一方で、若手を一本立ちさせていくという作業も、同時並行的に取り組まなければいけない。“特別強化指定”の筆頭候補となるのが、高卒3年目を迎えたドラフト1位・石川昂弥内野手。報道陣から「明日は4番で?」と問われた立浪監督は「(4番)の方がいいですか? そうですね、じゃあ4番にします」と明言した。

昨季は極度の貧打が低迷の一因にもなった中日。オフに目立った大砲の補強もしなかっただけに、石川昂の覚醒は是が非でも叶えたいところ。チームメートもスタッフも「昂弥はバケモン」だとブレークを疑わないが、まだ1軍で1本塁打も放っていないのも確か。不確定要素の多い中で、故障させず1軍戦力へと押し上げていきたい。さらに、チームとして勝利も拾っていきたいという難しい“賭け”に、指揮官は勝っていかなければいけない。

仮に石川昂が三塁か二塁でメドがついたとしても、両翼のレギュラーもぽっかり空いている。ドラフト2位ルーキーの鵜飼航丞外野手(駒大)はキャンプ序盤から持ち前の長打力を発揮しており、16日の日本ハム戦もスタメン予定。立浪監督は「初めて対戦するピッチャーにどれだけ対応できるか見てみたいですし、しっかり自分の形で豪快に振ってくれればそれで十分」と言う。

外野では、根尾昂内野手や岡林勇希外野手ら“戦力になってもらわないと困る若手”は多い。成長の土壌を作り、それに選手たちが応えることができるのか。新監督の手腕の見せどころでもある。(小西亮 / Ryo Konishi)

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