九州・沖縄県紙交換企画【SDGsの姿 2022】ー8ー 釣りざおを手にごみ拾いを続ける中学生のCM(沖縄県中城村)

自然体で美ら海守る

写真説明/CMの撮影に臨む古謝真南斗さん(右端)と伊野波有志さん(右から2人目)=沖縄県中城村内

 沖縄県中城村在住の古謝真南斗(まなと)さん=美里工業高1年=と伊野波有志(ゆうじ)さん=北中城高1年=が、公共の啓発CMを手掛ける公益社団法人「ACジャパン」のCMに出演している。2人は中城中学校で「釣り部」を名乗り、釣りざおとビニール袋を持ち歩いてごみ拾いを始めた。「俺たちはただ、おじぃになっても釣りがしたいだけなんだよな」。中学時代につぶやいた言葉は2023年6月まで、沖縄県内のテレビやラジオで紹介される。

 本紙は20年3月紙面で2人の活動を紹介。記事を見たアドスタッフ博報堂(那覇市)の福井啓示さんは「背伸びせず、自然体でやっている少年たちの姿が魅力的。中城の景色と一緒にありのままを撮りたい」とACジャパンに企画を持ち込んだ。

 国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の視点からも、2人の活動を発信したいと考えたという。

 ACジャパンの21年度地域キャンペーンのテーマは「沖縄の宝を大切に」。福井さんの提案は県内7社の広告代理店が応募した33作品の中から選ばれ、21年4月に中城村内で撮影された。

 CMでは、鼻にストローが刺さったウミガメの動画が2人のごみ拾いのきっかけになったことを紹介。「沖縄の宝、その『美らさ』を守るのは、私たちです」と訴える。

 CMの撮影現場で2人は、砂浜のペットボトルや履き捨てられた靴を慣れた手つきで拾った。相変わらず減らないごみを前に、伊野波さんは古謝さんにおどけて言った。「俺たちが腰を痛めるのが先か、海がきれいになるのが先か、だね」

 CMはACジャパンの「地域キャンペーン」のサイトからも視聴できる。(沖縄タイムス中部報道部・平島夏実)

 【メモ】ACジャパンは、公共マナーや環境問題など、社会にとって有益なメッセージを広告で発信している公益社団法人。広告会社やメディアを含む民間の企業・団体と個人の会費が活動資金となっている。

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