本社の太陽光発電→送電→自社ビルで使用 樹昇(宮崎市)消費電力再エネ100%に

樹昇の本社屋根に設置した太陽光発電システム(同社提供)

 太陽光発電システム販売や施工管理を手掛ける樹昇(きしょう)(宮崎市、高橋利光社長)は3月から、同市高岡町の本社に設置した太陽光発電システムで発電した電力を市中心部にある自社の「樹昇KYビル」で消費する取り組みを始める。再生可能エネルギー発電や電力小売の「UPDATER」(東京)と連携し、離れた土地で発電した再エネ100%電力の供給を実現。樹昇によると、データのやりとりを記録する「ブロックチェーン」技術を活用した電力取引の仕組みは県内初で、日照時間の長い本県で電力の地産地消を進めていきたい考え。

 消費地と離れた場所で発電した再生可能エネルギーを、送配電線を通じて第三者が購入する仕組みは「オフサイトコーポレートPPA(電力購入契約)」と呼ばれ、県外では大企業を中心に導入が進んでいる。
 樹昇のケースは自社で発電したエネルギーを自社で消費するスタイル。本社で発電した電力はいったん九州電力送配電に売電し、UPDATERを通じてビルに供給される。入居する飲食店5店舗はUPDATERと個別に契約を締結する。

 樹昇本社に設置された太陽光発電システムは、年間約6万8千キロワットを発電。一方の自社ビルでは約11万9千キロワットの消費を見込んでおり、約6割を賄うことができる。不足分はUPDATERから再エネ由来電力の供給を受ける。ブロックチェーン技術で発電元を特定するシステムを使うことで、樹昇やUPDATERから供給された再エネであることを証明。両社からの供給量とビルでの消費量を30分ごとに記録し、随時確認できるという。

 再エネの固定価格買取制度によって、全国で太陽光発電システムの普及が進んだが「太陽光設置の目的が売電して利益を得ることになっているのがずっと気になっていた」と高橋秀明常務。「SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが求められる今、再エネの活用に価値を見いだしてほしい」と、自社ビルでの再エネ100%使用を目指し、昨年12月からUPDATERと連携し導入への動きを進めてきた。

 今年中には本社社屋で使う電力も再エネ100%電力に切り替える予定。高橋常務は「まずは自社で実践し、『環境に優しいエネルギーを使うことは企業の付加価値になる』と県内企業に気付いてもらうきっかけにしたい」と話している。

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