小学校のアサガオ栽培 なぜプラスチックの鉢? 鎌倉の保護者ら「環境配慮の教材に」 市内のごみ試算年765キロ

アサガオの鉢をはじめとした学校教材について話し合う保護者ら(サステな学校プロジェクト提供)

 「アサガオはプラスチック製の青い植木鉢で育てなくてはだめ?」。学校の補助教材に疑問を感じた母親が声を上げたことを契機に、神奈川県鎌倉市内の保護者らが任意団体を立ち上げた。1月に実施したオンラインアンケートの結果を基に、サステナブル(持続可能)な学校教材導入を提案していく考えだ。

 きっかけは子どもが市立腰越小に通う母親(42)の疑問からだった。

 「なぜ、環境問題を学んでいるのに、アサガオの鉢はプラスチック製のままなのか?」

 植物が好きで自宅でもガーデニングを楽しむ母親。屋外で使うプラスチックは劣化が激しく、「これまで多少価格は高くても陶器製の鉢を選んできた」。子どもと地元の砂浜に出かけたときに見かける小さなプラスチック片も気になっていた。

 ほかの保護者に話したところ賛同が得られ、学校側に自然界で分解できる素材の鉢に変えられないかと手紙を出した。ところが「すごく重要な視点なので今後の参考にしていきたい」との回答で結局、鉢は発注済みだったため変更されなかった。

 こうした経緯を会員制交流サイト(SNS)で発信すると反響があり昨年、教材の販売を手掛ける「高山商会」(同市長谷4丁目)の社員や、地元の保護者らと「サステな学校プロジェクト」を立ち上げた。

 同社の試算によると、市内の児童が全て鉢を捨てた場合、プラスチックのゴミは年間765キロにも上るという。月1回程度勉強会を重ね、4月の教材選びに合わせ、1月にアンケートを行った。

 全国から236件の回答が得られ、アサガオの植木鉢と支柱は「リユース・リサイクルを推進してほしい」との回答は8割に迫り、「素材を変えてほしい」との答えも半数以上だった。

 こうしたアンケート結果を受け同プロジェクトは今後、活動を市内のより多くの保護者に知ってもらう普及活動を展開するほか、同社の取引先の金型メーカーに素材変更ができないか打診していく考えだ。同プロジェクトのメンバー(39)は「学校と対立するのではなく、提案することで良い方向へ進めていきたい」と話している。

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