新しい三田線の顔「6500形」お披露目 5/14デビューの新型は「人にやさしい車両」

2022年2月16日(水)、都営三田線の新型「6500形」が報道公開されました。

同路線の主力である「6300形」1次車・2次車がじきに更新時期を迎えること、利用者が増え抜本的な混雑対策が必要となったことから、同路線では初となる「8両編成」の新型車両で置き換えることになりました。6300形が営業運転を開始したのは1993(平成5)年ですから、実に29年ぶりの新型登場となります。

最初の編成がデビューするのは2022年5月14日(土)。今年度末までに13編成を導入する予定です。余談ですが、2月現在、三田線では8両編成対応のためホームドアの更新・増設や駅施設の改修が行われており、デビュー後は6500形だけでなく、他社の8両編成も乗り入れを開始します。

コンセプトは「スマート+コンフォート」

6500形の正面顔。直線的な形状が印象的です。行先表示は取材中、一時的に「6500形デビュー!!」に切り替わりました

6500形は「スマート+コンフォート」をコンセプトとする基本デザイン構想に沿って開発されており、その造形はスマートかつ無駄のない機能美を感じさせるものとなっています。

外観は先頭部も含めシンプルな箱型で、デザインが発表された頃からその形状が話題になっていました。行先表示器や前照灯なども「視覚的なノイズとなる要素を極力抑えた収まり」としており、優先席のマークなども見やすさに配慮して総合的に配置されています。

車体側面の行先表示器
車体側面の表示類もシンプルに。パンタグラフは2号車・6号車に設置されており(西高島平方が1号車)、整備時は4両+4両への分割ならびに簡易運転台による自走が可能です

車内は袖仕切りや扉にガラスを多用し、明るく見通しの良いデザインに。色は外観同様に三田線のラインカラーである「ブルー」を用い、金属の素材感と組み合わせることで、車両全体での統一性を演出します。

車内は透明なガラスを多用することで明るく見通しのいいデザインに
6500形の運転台

座席は7人掛けから6人掛けに

6500形のドア間座席は6人掛け。座席幅は25ミリ拡大しました

置き換え対象である6300形の1次車・2次車にはクロスシートも設置されていましたが、6300形の3次車から廃止されています。6500形も同様で、座席は全てロングシートとなりました。

ドア間の座席は7人掛けから6人掛けに。これは各車両にフリースペースを設けたこと、乗降口付近のスペースを広く取ったこと、座席幅を6300形より25ミリ広くしたことなどが理由です。

全ての車両にフリースペースが設置されています。優先席の座席色はグリーン

各車両の乗車定員は、1・8号車が139人(座席39人)、中間車が149人(座席45人)。6両編成と比較すると、車両全体では定員が862人から1172人へと増加しています。

充実した車内設備、人にやさしいユニバーサルデザイン

6500形では、LED照明を採用したり、1両当たり4台の防犯カメラを設置するなど、設備面も最新の通勤車両に相応しいものとなっています。

乗降口上部に3画面の液晶ディスプレイを設置

たとえば扉上に設置された液晶ディスプレイ。広告用1画面+案内2画面の構成ですが、3画面タイプを入れたのは都営交通としては初めて。理由は「路線長がかなり伸びるため、先の先までご案内できるように」とのことで、2023年3月の相鉄・新横浜線開業を機にどこまで乗り入れるようになるのか気になるところです。

その他にも、客室設備においては「吊革の高さを3段階に設定」「側窓に熱暑感を軽減するIRカットグリーンガラスを採用」「荷物棚の高さを抑える」など、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた「人にやさしい車両」と言えそうです。

吊革の高さは3段階。荷棚の高さも低めに抑えられています。袖仕切りのガラスにドット柄が採用されているのはプライバシーに配慮したもので、考え方は西武の特急「Laview」の窓ガラスに通ずるものがあります

記事:一橋正浩

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