【新型コロナ】マスク飲食認証の虚偽報告 訪問員、他店舗でも確認せず

 新型コロナウイルス感染防止に取り組む神奈川県の「マスク飲食実施店」認証制度を巡り、委託事業者の訪問員が認証要件である現地確認を怠っていた問題で、この訪問員が他に担当した少なくとも5店舗で現地確認をしていなかった疑いがあることが16日、県への取材で分かった。認証の取得は、県内全域に適用されている「まん延防止等重点措置」の酒類提供などの条件となっている。認証制度の根幹となるプロセスが骨抜きになっていた疑いがあり、県が全容把握を進めている。

 県によると、訪問員は30代男性。県は10日、訪問員が茅ケ崎市の飲食店の現地確認をしていないにもかかわらず「訪問して確認した」と虚偽の報告をして確認表を作成していたと公表。県はこの虚偽の報告に基づいて同店を認証していた。

 同店から「現地確認を受けていない」との連絡があり発覚。訪問員は「次の現地確認に間に合わなくなると思った。確認しなかったのは1軒だけ」と話していたが、その後、複数の店舗で現地確認を怠ったことをほのめかしているという。

 県は訪問員が担当した同店以外の飲食店67店について、委託事業者に虚偽報告の有無を調査するよう指示。県も直接調査した結果、少なくとも5店で現地確認していないことが分かった。県総合政策課は「委託事業者による確認を徹底し、再発防止に努める」としている。

 認証制度は、申請した店舗を直接訪問して▽アクリル板の設置や座席の間隔確保▽マスク飲食の実施―などの条件を満たしているかを確認することを認証の要件としている。これまでに約3万4200店が認証されている。

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