50回記念大会の2022年ニュルブルクリンク24時間レースは北コースも観客動員が可能に

 2022年は5月26〜29日に開催が予定されている、ADACトタルエナジーズ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年からは3回目の大会となるが、第50回目の記念大会となる2022年は、北コース(ノルドシュライフェ)にもふたたび観客動員が可能となったことが発表され、ファンの声援が50回目のレースに華を添えることになった。

 新型コロナウイルス感染拡大以前には、毎年20万人以上のファンが世界中から集まり、ノルドシュライフェのファンは、それなしでは語れないほどにレースを象徴する存在となっている。ノルドシュライフェを囲むかたちで、広大な敷地には隙間もないほどにテントが張り巡らされ、家族や友人同士、ソロキャンプなど、思い思いのスタイルでビール片手にバーベキューを楽しみながら応援をするファンの姿はニュルの風物詩のひとつだ。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年〜2021年はノルドシュライフェでの観戦は禁止された。地区行政のコロナ禍特別対策により、グランプリコースのみ人数制限で観戦許可が下りていたが、チケットは早々に売り切れてしまい、大半のファンは自宅観戦を余儀なくされていた。いち早く再び以前のように観戦できる状態に戻れるように、大会主催者やニュルが再三ファンに感染拡大防止のために自宅観戦を楽しんで欲しいと協力を呼び掛け、ファンらもそれに応じて尊重をしていたこともあり、今季3年ぶりとなるノルドシュライフェのキャンプ観戦許可に歓喜の声が寄せられている。

 早くもチケットがニュルブルクリンクおよび、ニュル24時間のオフィシャルサイトにおいて販売が開始された。今季は開催50回記念大会となることから、ドイツ国内外から数多くのファンがニュルへ駆けつけるはずだ。

 2020年の春から急速に感染拡大が増え、モータースポーツ活動にも大きな影響をおよぼした新型コロナウイルス。コロナ禍に置いてはニュルで開催されるさまざまなカテゴリーのレースにも中止や延期、無観客、部分的に観客導入となるなど厳しい2年間を過ごした。

 また、ニュルブルクリンクが開業した1927年以来、ニュルを訪れる多くのファンやレース関係者により地域住民の経済活動を支えてきていたが、観客が減ったことで廃業してしまう宿泊施設や飲食店もあり、経済的な損失は大きかった。

 その上、2021年7月にニュル近郊を襲った大洪水被害により204名もの死者を出し、多くのレース関係者やその家族も洪水被害に遭った。世界中のレースファンやチーム関係者やドライバーなどから多額の寄付が寄せられ、泥水が引いた後の復旧作業にもレースで培ったチームワークとネットワークでモータースポーツ関係者が尽力を続けたが、現在もなお復旧作業や仮設住宅の建設、地域住民へ分配される寄付金や補償金が行き渡っていないこともあり、支援はまだ十分に行われておらず、24時間レースに多くのファンがニュルを訪れ、地域経済に貢献することで復興に少しでも繋がることを願うばかりだ。

 なお、ニュルブルクリンクでは、NLSニュル耐久シリーズやADAC GTマスターズ、DTMドイツ・ツーリングカー選手権、FIAラリークロスなど主要レースでは、新型コロナウイルスの感染者数が低下した昨年9月からは再びパドックへファンの入場が許可されたが、現在はオミクロン株がまん延していることとあり、ニュル24時間のパドックへの入場が許可されるかどうかのアナウンスはされていない。

 2022年のニュルブルクリンク24時間については、日本からはスバル/STIが参戦を発表している。

ニュルブルクリンク24時間の様子

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