年老いた母が娘に打ち明けた壮絶体験 ヤン ヨンヒ監督ドキュメンタリー「スープとイデオロギー」公開決定

「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」「かぞくのくに」のヤン ヨンヒ監督によるドキュメンタリー映画「スープとイデオロギー」が、6月11日より劇場公開されることが決まった。

「スープとイデオロギー」は、当時18歳だった1948年に、韓国現代史最大のタブーといわれる「済州4・3事件」の渦中にいたひとりの女性の生きざまを通して、国家の残酷さと同時に、運命にあらがう愛の力を描き出した作品。朝鮮総連の熱心な活動家だった両親は、「帰国事業」で3人の兄たちを北朝鮮へ送った。父が他界したあとも、借金をしてまで“地上の楽園”にいるはずの息子たちに仕送りを続ける母を、ヨンヒは心の中で責めてきた。心の奥底にしまっていた記憶を語った母は、アルツハイマー病を患う。消えゆく記憶をすくいとろうと、ヨンヒは母を済州島に連れていくことを決意する。

監督・脚本・ナレーションを務めたヤン ヨンヒは、「本作で私は、初めて家族と「南(韓国)」との関係を描いた。『スープとイデオロギー』というタイトルには、思想や価値観が違っても一緒にご飯を食べよう、殺し合わず共に生きようという思いを込めた。1本の映画が語れる話なんて高が知れている。それでも、1本の映画が、世界に対する理解や人同士の和解につながると信じたい。私の作品が多くの人々にとってポジティブな触媒になることを願っている」とコメントを寄せている。

【作品情報】
スープとイデオロギー
2022年6月11日(土)より[東京]ユーロスペース、ポレポレ東中野、[大阪]シネマート心斎橋、第七藝術劇場にて
ほか全国の映画館で順次公開
配給:東風
(C)PLACE TO BE, Yang Yonghi

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