東日本大震災被災地復興、SDGsに貢献できる商品・サービスを表彰「ソーシャルプロダクツ・アワード2022」

16日、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会は、「ソーシャルプロダクツ・アワード2022」授与式を都内の時事通信ホールで行った。

同アワードは、デザインや機能などの「商品性」と、社会・環境問題を解決する「社会性」も兼ね備えた商品・サービスの普及・推進を目的に設けられた、日本で唯一の持続可能な社会の実現に貢献する有形・無形の対象物(商品・サービス)を対象とした表彰制度だ。

9回目となること今年は年度テーマに「東日本大震災からの復興につながる商品・サービス」、自由テーマは「生活者が『持続可能な社会』づくりに参加できる商品・サービス」を募集した。

年度テーマでは株式会社起点の「SIOME」が大賞を受賞した。登壇した同社代表取締役の酒井悠太氏は、「SIOME」は福島県で栽培された日本在来種の綿花を有機栽培した綿を原料としたローカルオーガニックコットンブランドであると説明する。

綿花栽培は震災直後の原発事故以降、風評被害に悩まされる、福島県の農業を救済するために、2012年より、地元の農家や県内外の企業・ソーシャルコミュニティと共同する形で綿花の有機栽培をスタートしたもので、野菜や米の代わりに食用ではない綿を栽培して耕作放棄地を減らす狙いがあったとのこと。綿花は、土壌から放射性セシウムの移行が非常に少ないという特徴を持っており、風評被害対策の面でも有効だった。

審査としては、耕作放棄地に減少や、栽培から商品化までを全て国内で行っているというサスティナブル(持続可能性)な地域貢献への評価はもちろん、オリジナルの柄を乗せるなどのデザイン性の高さも評価された。

自由テーマの「自由テーマ生活者審査員賞」には、えひめ活き生きファーマーズ株式会社の「ベジソルト」が選ばれた。

この商品の画期的な部分は、収穫時や災害による野菜や穀物などの破棄という、市場に出る前に発生する食品ロスに注目した点で、2018年の西日本豪雨の際に大量の野菜破棄を目撃し、同社代表取締役である元屋地真悟氏の「農家を救いたい」という気持ちがきっかけとして開発された。

元屋地氏によると、三反の畑を潰さないためだけに、ほうれん草を栽培し全て破棄していた高齢者の女性もいたとのことで、「畑を殺さないためだけに、燃料代とか肥料代を使っているのであれば全く所得に繋がらないでしょうということで、今年から全部弊社の方で買い上げということで、食品ロスの解消につなげてまいりました」と明かす。

なお、こういった市場に出る前の食品ロスに関しては、問題意識を持つ一方で安心してしまう面も個人的にはあるということで元屋地氏は「なぜかというと、それだけまだ農業に携わっている方がいらっしゃるということに繋がっていると思うからです」と説明したのだった。(斎藤雅道)

※各受賞商品

●年度テーマ

大賞:「SIOME(シオメ) 」株式会社起点

優秀賞:「TEZKURI MARCHE - ART『ジビエ鹿革ルームシューズ』手づくりキット」 一般社団法人手づくりマルシェ

生活者審査員賞:「地域資源メカジキの角(吻)を利用したジーンズ」有限会社オイカワデニム

●自由テーマ

大賞:「UpcycleLino(アップサイクルリノ) 」株式会社ネキスト

優秀賞:食品ロス削減マッチングサービス「タベスケ」株式会社G-Place

生活者審査員賞:「ベジソルト」えひめ活き生きファーマーズ株式会社

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