豪華ゲスト参戦のTCRオーストラリア開幕戦は第2世代アウディが先勝。接触続発の荒れた展開に

 2019年に創設され、2年間のイレギュラー開催を経て実質3年目の開幕を迎えたTCRオーストラリア・シリーズの開幕戦には、アルファロメオ、アウディ、ヒュンダイ、フォルクスワーゲン、プジョー、ホンダ、そしてルノーの7つのブランドを代表する、史上最多20台のエントラントが集結。

 オープニングヒートこそクリーンな展開となり、最新世代アウディを投入したメルボルン・パフォーマンス・センター(MPC)のエース、ジェイ・ハンソン(アウディRS3 LMS)が、2代目RS3 LMSのオーストラリア大陸デビューウインを飾ったものの、レース2以降は接触アクシデントやペナルティに、赤旗掲示の荒れた週末に。最終的に自身もペナルティ裁定を受けながら、HMOカスタマー・レーシングから参戦のジョシュ・バカン(ヒュンダイi30 N TCR)が最初のシリーズリーダーに立っている。

 土曜日に1回、日曜日に2回の計3ヒートを予定するシモンズプレインの開幕戦には、MPCが招聘した初代王者ウィル・ブラウン(MPC/アウディRS3 LMS)や、同じくRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで活躍を演じるファビアン・クルサード(スタンスポーツ・ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)、マイケル・カルーソ(アシュリー・シュワード・モータースポーツ/アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)など、豪華ドライバー陣が多数集う1戦に。

 そうした強豪ひしめくトラック上はプラクティスから高い緊張感で進み、初代アウディに乗るブラウンやザック・スーター(チーム・スーター・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)らが最速タイムを刻む一方、これがシリーズデビューとなる21歳のコディ・ガーランド(バルボリン・レーシングGRM/ルノー・メガーヌR.S. TCR)がクラッシュから大破を喫し、複数ブランドにまたがり大挙6台で参戦の古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)は、いきなりマシンリペアに追われる状況となった。

 そんな波乱を予感させる空気のなか、最初のヒートに向けポールポジションを獲得したネイサン・マルコム(HMOカスタマー・レーシング/ヒュンダイi30 N TCR)だったが、スタートではフロントロウに並んでいた新世代アウディに出し抜かれ、ハンソンに26周のレースを支配される展開に。その後、チームメイトでもあるバカンがマルコムを抜いて2位を獲得し、HMOの2台がポディウムを死守。6番手発進のジェームス・モファット(LMCT+レーシングGRM/ルノー・メガーヌR.S.TCR)が2021年ランキング2位のアーロン・キャメロン(チーム・バルボリンGRM/プジョー308 TCR)を仕留め4位に入っている。

2022年に向けRSCでのレギュラーシートを失ったファビアン・クルサードが、FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブ
ゲストに招聘された初代王者ウィル・ブラウンは、旧型となる先代アウディRS3 LMSのステアリングを握った
レース2は新鋭ベイリー・スウィーニー(HMOカスタマー・レーシング/ヒュンダイi30 N TCR)を押さえ込んだジョーダン・コックス(スウィフテックスGRM/プジョー308 TCR)が勝利

■レース2はスタートから荒れ模様。レース3ではスーターが初勝利

 明けた日曜のレース2は、フロントロウに並んだジョーダン・コックス(スウィフテックスGRM/プジョー308 TCR)とキャメロンがターン1で絡むことから始まり、これでダメージを負ったキャメロンのプジョーはピットへ。

 すると5番手争いを展開していた前戦勝者ハンソンと、その僚友ブラウンにパスされポジションを落としていたモファットが最終コーナーで接触し、ルノーはピットウォールに一直線。アウディは右フロントを破損してターン2でストップし、長いセーフティカー・ピリオドが続くことに。

 再開後は首位コックスが勢いを見せる新鋭ベイリー・スウィーニー(HMOカスタマー・レーシング/ヒュンダイi30 N TCR)を押さえ込み勝利。3番手争いは終盤、最後の最後でトニー・ダルベルト(ホンダ・ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)のオーバーテイクを試みた旧型アウディの初代王者がわずかにワイドになり、グラスエリアにマシンを落として決着。シビックが最後のポディウムを守り、RS3 LMSの感触を掴み始めたブラウンが4位に続く結果となった。

 そして修復叶わずモファットのルノーが不出走となった最終ヒートは、バカンがポールから発進すると、背後ではプラクティス最速を分け合ったプライベーターのスーターとブラウンが絡み、初代王者のアウディはコースオフ。再びのセーフティカー介入となる。

 リスタートではバカンがスーターの攻撃を抑えたものの、ブラッド・シールズ(ロイヤル・パープル・チルトン・レーシング/ヒュンダイi30 N TCR)がディラン・オキーフ(シェフラーGRM/プジョー308 TCR)の左後部にヒットし、メインストレートのタイヤバリアを破壊するクラッシュに発展。これでレースは赤旗中断が宣言される。

 コース修復作業に時間を要したのち、セーフティカー先導でレース再開となる場面で、今度は首位のバカンが「先導車ライト消灯後の隊列内での危険走行(ウィービング)」でペナルティを科され、レースタイム5秒加算のハンデを負ってしまう。

 再開後ファステストでマージンを稼ごうとしたバカンだったが、先導走行でパックとなった後続を引き離すには至らず。2位チェッカーのスーターが開幕ラウンドでシリーズ初勝利を手にし、ダルベルト、コックスの表彰台に。最終的にバカンは4位に終わったものの、この週末に118点を稼いでランキング首位に立っている。

 続くTCRオーストラリア・シリーズ第2戦は、3月18~20日の週末にフィリップアイランドでの開催が予定されている。

レース2で表彰台まであと1歩に迫ったウィル・ブラウン(MPC/アウディRS3 LMS)だったが、レース3で無念のアクシデント
レース3で押し出されたディラン・オキーフ(シェフラーGRM/プジョー308 TCR)。GRMはリペア、またリペアの週末に
開幕直前に参戦表明したザック・スーター(チーム・スーター・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、レース3で初勝利を飾っている

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