新王者カサグランデ組が“ダブルス”制覇。セラ/ファーフス組はともに3位表彰台獲得/SCB開幕戦

 国際舞台で活躍する豪華スタードライバーを招いて争われる、伝統の“レース・オブ・ダブルス”で幕を明けた2022年のSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”は、2021年に自身初のタイトルを獲得したガブリエル・カサグランデとペアを組むガブリエル・ローブ組(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が、ヒート1の勝利とヒート2の4位入賞でこの週末の勝者に。

 一方、強豪ユーロファーマRCの3冠王者ダニエル・セラと、そのゲストとして招聘されたアウグスト・ファーフスは、同じシボレー・クルーズの29号車でともに3位表彰台を獲得し、セラ自身もタイトル奪還に向け好発進を決めている。

 南米大陸を代表する人気ツーリングカー選手権として、母国を代表する元F1ドライバーが多数レギュラー参戦するSCBは、この2月12~13日の週末に迎えた2022年開幕戦でひさびさの“ダブルス”を開催。

 フル参戦2年目を迎えるフェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)は、かつて跳ね馬に在籍した2008年のF1最終戦ブラジルGPにおいて、自身の初戴冠を“阻む”ひとりとなったティモ・グロックを招聘。一方、セラの僚友として3度のタイトル獲得経験を持つリカルド・マウリシオはフィリペ・アルバカーキを招集した。

 トヨタ陣営ではトニー・カナーン(テキサコ・レーシング/トヨタ・カローラ)が、2022年も引き続きハースF1チームのリザーブを務めるピエトロ・フィッティパルディを起用し、2014年王者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)は愛息“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロと。そしてふたたび新規チームとなるTMGレーシングを立ち上げたネルソン・ピケJr.は、23歳の弟ペドロとともに参戦するなど、多くのゲストがインテルラゴスに集結した。

 その予選で“最速男”の異名をとるチアゴ・カミーロとデニス・ディラーニ組(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)や、ガリド・オスマン/エンツォ・エリアス組(シェルVパワー/シボレー・クルーズ)を抑えてポールポジションを獲得したカサグランデは、レギュラードライバーのみで争われる19周のヒート1に挑むと、フロントロウのカミーロや5番グリッドから浮上してきたセラを抑え、ファステストラップを刻む速さで快走。

 現役チャンピオンの力量を示す完勝でシーズンの幕明けを飾り、カミーロ、セラのポディウムに続き4位にマルコス・ゴメス(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)、5位リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)のトップ5に。一方で「息子のアシストを」と意気込んだバリチェロと、F1時代の“因縁ペア”で注目を集めたマッサは、ともにマシントラブルによるリタイアを喫している。

2014年王者ルーベンス・バリチェロ(Full Time Sports/トヨタ・カローラ)は愛息”ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロとのペアで参戦
ティモ・グロック(左中)を招聘したフェリペ・マッサ(Lubrax Podium/シボレー・クルーズ/左)だが、自身のヒートはトラブルで失うことに
南米大陸を代表する人気ツーリングカー選手権として、SCBには母国を代表する元F1経験者も多数レギュラー参戦する
ポールポジションを獲得したカサグランデは、ファステストラップを刻む速さでレース1を快走

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 続いて招待ドライバーのみで争われ、前戦トップ10のリバースグリッドが採用されたヒート2は、アラム・コデアのゲストであるスペイン人のアルベルト・コスタ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)がポールからスタートし、リードを維持していく。

 しかしルーティンピットの作業後にコース復帰したコスタは、アウトラップでコースオフを喫してポジションを失い、代わって3番グリッドスタートだったエンツォ・エリアスのシェルVパワー・シボレーが首位を奪取。そのまま2秒849差でトップチェッカーをくぐり、3位には7番手からさすがの巻き返しを披露したファーフスが続くポディウムに。同じくカサグランデの勝利で10番手発進となった“チャンピオン・ゲスト”のローブも、ファーフスにあと2秒と迫る力走で4位フィニッシュを果たした。

「この機会を与えてくれたガブリエル(・カサグランデ)には感謝の言葉もないよ。10番手スタートから4番手に這いあがり、ファイナルラップではアウグスト(・ファーフス)を狙ったが届かなかった。背後には21番手からピエトロ(・フィッティパルディ)が来ていたのも驚いたけどね」と語った、2017年の下部シリーズ王者でもあるローブ。

「でも僕自身、ガブリエルがタイトル防衛を争うための良い得点をもたらせた。これがここにいたすべての人、投資家、スポンサーの目に届いたことを願っている。それは僕がメインカテゴリーに上がるために探しているチャンスであり、彼らと対等な立場で競争するための力量があることを証明したわけだからね!」

 そのパフォーマンスを目の当たりにした王者カサグランデも「彼はこのチャンスに値する」と、ローブによって得られた結果を祝福するコメントを残した。

「勝利する以上に、タイトル防衛を開始する良い方法はないね。これを主にローブのために言いたい。なぜなら彼は本当にこのチャンスに値する男だからね」と続けたカサグランデ。

「彼は非常に良い選択をしたと思う。ポールポジション、勝利とファステストラップ、そしてたくさんのポイント……まだチャンピオンシップは始まったばかりだが、それは重要な第一歩だ」

 続く2022年のSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”第2戦は、約1カ月後の3月19~20日にシリーズお馴染みのゴイアニア、アイルトン・セナ・インターナショナル・サーキットで争われる。

TOYOTA GAZOO Racing Brasil勢の最上位には、チアゴ・カミーロ/デニス・ディラーニ組(Ipiranga Racing/トヨタ・カローラ)がつけた
「週末の始めから、彼を完全に信頼していた」と語った新チャンピオンのカサグランデ(左)
R2はガリド・オスマン/エンツォ・エリアス組(Shell V-Power/シボレー・クルーズ)が勝利を飾っている
カサグランデが合計41点で首位発進、ファーフスをゲストに迎えたダニエル・セラが32点で、31点のカミーロと続く

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