休日の朝の読書に。やさしくあたたかな気持ちになれる一冊『春の窓』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『春の窓 安房直子ファンタジー』

児童文学作家・安房直子(あわなおこ)の傑作短編集。以前ご紹介した作品集が新たに発売となりました。やさしくあたたかな気持ちに包まれる一冊です。休日の読書にぜひ。

春の窓 安房直子ファンタジー
著者:安房直子
出版社:講談社

この美しい物語にぴったりの言葉は、童話でもファンタジーでもなくメルヘン。思春期の頃、憧れや不安でいっぱいな心を温かくしてくれたのは、やっぱりこんなメルヘンでした。

たとえば「あるジャム屋の話」。人づきあいの苦手な若者が、森の中の小屋でジャム作りを始めるのですが、ジャムは一向に売れません。絶望しかけた若者のもとを訪れたのは意外にも……。黙々とジャムを作る若者のさびしさをやさしく包み込む、詩のような物語がじんと心に響きます。ひとりぼっちのクマの物話「北風のわすれたハンカチ」は、本当にせつない。「さびしくて、胸の中がぞくぞくするよ」体はおとなだけど、心はまだ少し子どものクマのつぶやきです。

本書の「朝時間」は、カニから届いた白い巻貝。耳に当てると、朝露のこぼれるような、ギターの音色が聞こえてきます。

人の心にすっと入り込み、希望の光をともしてくれる十二のメルヘン。人生に訪れる幸福の瞬間を照らす光は、ランプのようにポッと明るく輝いて、いつまでも温かい。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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