初心者を初登山へ連れて行くなら…ウェアや装備をしっかりとアドバイス、楽しい登山にするため経験者の役目です【ふくいのそと遊び】

初めての登山を楽しいものにするために…
山に入るにはそれなりの「正装」が必要。快適に動くことができれば、より楽しい思い出に

 2月中旬になり、雪解けを待って2022年から登山を始めようとする人が昨年より店頭でも多く見られます。

 「キャンプをきっかけに始めたい」「友達同士、カップルで趣味を共有したい」「職場でサークルを作った」等々始める理由はさまざま。理由を聞いてると自分が登山を始めたきっかけや当時の登山仲間を懐かしく思い出します。

 自分の思い出はさて置き、来店したお客さまと話していて心配になった事を、今日はお話ししたいと思います。

 登山を始めるに当たって重要事項があるんです。当店ではまず“それ”を聞いてからアドバイスや必要な装備をお薦めしています。

 ”それ”とは…「最初の山は誰とどこへ、何月に行こうと計画しているか」ーなんです。

 これによって備える必要がある道具が決まります。持って行くものがはっきりすると、必要のないものを買うこともなくなります。例えば真夏に近くの低山へハイキングへ行くなら防寒具は必要ありませんが、ゴールデンウイークに2千メートル近い山へ行くのなら寒さを防ぐための服装は必須になります。

 初心者同士のグループで出掛ける場合はどんな山へいつ登るのかはっきりしていることが多いのですが、ある程度の経験者に誘われた場合には「連れて行ってもらうからよく分からない」と答える人もいらっしゃいます。

 …不安ですよね。多分、不安で聞きたいこともあるのでしょうが、何を聞けばいいのかも分からないこともあるのでしょう。初心者にとっての不安とは、初登山を迎えるにあたっての情報不足なんです。

 経験者が初心者を山へ連れて行くときには、服装や持ち物などの事前準備や向かう山での経験談をきちんと説明するべきです。中には不安なのでお店に情報を聞きに来る人もいますが、経験者の言われた通りの準備で登山デビュー当日を迎える初心者も少なくありません。

 一番よく聞くのが「動きやすい格好でおいで」や「普段着慣れているデニムや汚れても大丈夫な格好でいいよ」など…ですが、良くないです。

 登山は大量のエネルギーを消費する運動であり、寒さや暑さを感じたり、汗濡れで体が気持ち悪くなったりするなどさまざまなストレスもかかります。ウェアはそのストレスを最大限軽減するためのものであり、登山で最も大事なことの一つです。動きやすいのはもちろん、季節にあった温度調整ができるか、汗をかいてもすぐ乾くかーなどなど。山へ入るためには「正装」が必要なんです。

 初めての登山は、ついていくのがやっとで、なかなか景色を楽しむ余裕もありません。

 初心者に楽しめる余裕が出てくるように、連れて行く経験者は自分が初めて登山に参加した時からいままでの経験の中で感じた事を基に、ウェアや装備品の重要性を伝え、準備のサポートをしてあげてください。

 ウェア選びから装備品の準備まで一緒に楽しんでる面倒見の良い経験者もお店にいらっしゃいます。見ているだけで、楽しい初登山になりそうな雰囲気が伝わってきます。

 また、初心者の方も楽しい初登山にするため、近くのショップで色々と相談してみてください。ショップのスタッフは、登山のプロというよりアウトドアのプロです。車屋さんが運転のプロではなく車の知識を持ったプロであるのと同じです。シーズンごとに出てくるさまざまなブランドの最新の素材を勉強し、豊富な経験・知識を基に、偏った意見ではなくその人のニーズに合ったアイテムをご紹介していますので、安心してご質問ください。

 近年のアウトドアブームで登山を始める人口が増え、令和3年夏期(7~8月の2か月間)で全国の山岳遭難発生件数は533件。(警視庁生活安全局生活安全企画課)

 楽しい登山を無事終えるため、最低限の装備・確かな情報・安全な登山計画で挑みましょう! enjyoi Trekking!

(アウトドアセレクトショップ「MONOLITH/モノリス」=福井市中央1丁目 吉川雄一)

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