「佐渡金山」韓国のプロパガンダと内なる敵『ポプラディア』|和田政宗 佐渡金山の世界文化遺産推薦にあたり、韓国が「強制労働の現場」などと事実に基づかない批判をしている。韓国が仕掛ける歴史戦には、ファクトベースで反論することが重要だが、残念ながら日本国内にも、韓国のプロパガンダを助長する勢力がいる――。嘘を流布する「内なる敵」を告発!

佐渡金山も断じて「強制労働」ではない

佐渡金山の世界文化遺産推薦にあたり、韓国が「強制労働の現場」などと事実に基づかない批判をしている。戦時中の労働者の募集や徴用は、賃金が支払われており、断じて「強制労働」ではない。歴史の事実としてしっかりと反論していかなくてはならない。

当時の資料を検証した論文がいくつも出ているが、佐渡金山など日本各地の炭鉱においては、朝鮮半島出身者も内地出身者も賃金において差別はなく、勤続年数や作業能率、職種などによって賃金が支払われ、朝鮮出身者のほうが内地出身者よりも高賃金であった炭鉱はいくつもある。

また、佐渡においては、『佐渡鉱山史』(大平鉱業佐渡鉱業所)や、『半島労務管理ニ付テ』(佐渡鉱業所)によると、朝鮮出身者と内地出身者はおおむね同一の賃金で、賞与も複数回支払われたと記されている。また、炭鉱労働者向けの娯楽イベントが開催されたり、米や味噌などの廉価販売も行われたりしていた。これのどこが強制労働なのか。

さらに、韓国人研究者で元九州大学客員教授の李宇衍さんの論文『戦時期日本へ労務動員された朝鮮人鉱夫(石炭、金属)の賃金と民族間の格差』でも、内地出身、朝鮮出身労働者の間に賃金格差がなかったことが明確になっている。

韓国のプロパガンダを助長する「総合百科事典」

こうした韓国による事実に基づかないプロパガンダに対し、中国やロシアも賛同しているが、ソ連による日本人のシベリア抑留こそ強制労働であり、戦時中の日本での鉱山労働は強制労働にはあたらない。

韓国の主張に対し明確に反論し世界各国に事実を広めなければ、韓国の主張が事実だとみなされ広がってしまう。我々は事実を世界に伝えていかなくてはならない。日本政府の一段の取り組みを促すとともに、私も国会議員としてしっかりと行動していきたい。

このような韓国のプロパガンダが行われるなか、日本国内においてもそのプロパガンダを助長するものがある。SNSでも話題になっているポプラ社の総合百科事典『ポプラディア』の記述である。

第1巻の「慰安婦」の項目では、「従軍慰安婦ともいう」「朝鮮や中国、東南アジア各地の占領された地域の女性たちが強制連行で慰安婦にされることも多くなった」と当時は存在しない事実と異なる用語や、全く資料も存在せず否定されている「慰安婦の強制連行」が明記されている。

また、第5巻の「強制連行」の項目では、「日本が朝鮮半島や中国から住民を強制的に日本につれてきて働かせたこと」「現在の在日韓国・朝鮮人は、戦後に帰国のための支援を受けることができず、日本にとどまった人々とその子孫が多い」との、事実と異なる記述がある。

在日韓国・朝鮮人、自らの意志で日本に残った

日本政府による在日韓国・朝鮮人の戦後の帰国支援については、平成22(2010)年に高市早苗衆院議員が資料を見つけ、その後、平成30(2018)年の政府答弁書でも引用されているが、昭和34年に外務省が発表した「在日朝鮮人の渡来および引揚げに関する経緯、とくに戦時中の徴用労務者について」という資料に詳細が記されている。

「まず1945年8月から1946年3月までの間に、帰国を希望する朝鮮人は、日本政府の配船によつて、約90万人、個別的引揚げで約50万人合計約140万人が朝鮮へ引揚げた。右引揚げにあたつては、復員軍人、軍属および動員労務者等は特に優先的便宜が与えられた」

「ついで日本政府は連合国最高司令官の指令に基づき1946年3月には残留朝鮮人全員約65万人について帰還希望者の有無を調査し、その結果、帰還希望者は約50万人ということであつたが、実際に朝鮮へ引揚げたものはその約16%、約8万人にすぎず、残余のものは自から日本に残る途をえらんだ」

すなわち、日本政府は在日韓国・朝鮮人の帰国支援をしっかり行っており、『ポプラディア』の記述は、こうした事実に基づく資料と全く正反対なのである。

さらにこの第5巻の「強制連行」の項目では、「多くの女性を女子愛国奉仕隊、女子挺身隊といつわって日本軍の慰安婦にした」との記述がある。

「女子挺身隊=慰安婦」嘘を流布した朝日新聞

女子挺身隊が慰安婦ではないことは、女子挺身隊=慰安婦との嘘を世間に広めた朝日新聞が、平成26(2014)年12月23日朝刊で、『記事を訂正、おわびしご説明します 朝日新聞社 慰安婦報道、第三者委報告書』との謝罪記事を掲載し明確に訂正している。

朝日はすでにその年の8月の記事で、「女子挺身隊は、戦時下で女性を軍需工場などに動員した『女子勤労挺身隊』を指し、慰安婦とはまったく別です」「誤用しました」と記しており、嘘を流布した朝日新聞自体が事実に則り訂正している内容が、ポプラ社の百科事典には掲載されているのである。

そして、さらに問題なのは、ポプラディアは、小学、中学、高校生向けの百科事典であり、これらの学校の図書室に導入されていることである。全く歴史的事実と異なる記述が、小中学生、高校生にインプットされることになる。

ポプラ社は、自社の百科事典に、日本をおとしめるような事実に反する記述があることどのように考えるのだろうか?

日本においては出版の自由が保証されているので、公的な力を持って訂正を求めることはできない。しかしながら、こうした事実に反する酷い記述があることを世に紹介すれば、普通であれば自ら訂正するであろう。

国内外における歴史的事実に反するプロパガンダについて、しっかりと事実をもって反論し、戦っていく。

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和田政宗

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