メルセデスF1『W13』:新時代の覇権を目指すシルバーアロー。ステアリング以外全て新設計、PUにも過去最大の変更

 2021年にF1コンストラクターズ選手権8連覇を成し遂げたメルセデスF1チームが、2月18日に2022年型『メルセデス-AMG F1 W13 Eパフォーマンス』の発表会を開催、レースドライバーのルイス・ハミルトン、新たにチームメイトとなったジョージ・ラッセル、チーム代表トト・ウォルフらがニューマシンを初披露した。

 ウォルフ代表、ハミルトン、ラッセル、ジュニアドライバーたちのインタビューに続き、ニューマシンのお披露目がなされ、テクニカルディレクターのマイク・エリオットとメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズのマネージングディレクター、ハイウェル・トーマスも登場し、最後には全員でマシンを囲み、発表会が締めくくられた。

 メルセデスは、2020年、差別に反対し、チームの多様性向上を目指す意思の表れとして、マシンのメインカラーをシルバーからブラックに変更、2021年にもブラックのマシンを走らせた。しかし、2022年にはシルバーに戻るという説が浮上、そのうわさどおり、シルバーアローが復活、『W13』はトラディショナルなシルバーに彩られていた。ただし、メルセデスは「より多様性のあるチームになるというミッションはしっかりと根付いており、今後もそれについての結果を出し続けていく」と述べている。

「黒いカラーリングは、より多様で包括的なチームになるという我々の使命を明確に示すものであり、明確な意図が含まれていた。それが我々のDNAの一部になった」とウォルフ代表は語る。

メルセデスF1の2022年型マシン『W13』

「だがシルバーアローの銀色こそが我々のDNAであり、我々の歴史でもある。シルバーアローから徐々により多様で包括的なチームへと成長し、その結果、我々のカラーはシルバーとブラックになるのだ」

 8年間のV6ハイブリッド・ターボ時代に一貫して強さを発揮してきたメルセデスだが、2022年にはF1技術レギュレーションが大幅に変更され、一からのスタートを切ることになる。だがメルセデスチームは「自分たちにはやれる」という精神で、ニューマシンの開発に取り組んできたとウォルフは言う。

 テクニカルディレクターであるエリオットは、自分のキャリアのなかで最大のレギュレーション変更だったと語る。1年半におよぶハードワークの末に完成した『W13』は、98パーセントが新開発で、先代モデルから引き継がれたものは非常に少なく、隅々まで新しく設計されたマシンだ。具体的には、ステアリングホイール以外、すべて再設計したという。

メルセデスF1の2022年型マシン『W13』

 一方で、パワーユニット(PU)は1回のみのパフォーマンス上のアップグレードが認められた後に、2025年末まで開発が凍結される。そのため、メルセデスの2022年パワーユニットには、2014年以来のハイブリッド時代のなかで最も多くのパーツが変更されたという。

 シャシーが完全にリデザインされることで、シャシーチームとパワーユニットチームが緊密なコラボレーションのもと、最大限のパフォーマンスを引き出すための作業にあたったとも、チームは述べている。

 メルセデスは18日、シルバーストンで『W13』のシェイクダウンを行い、23日にスタートするプレシーズンテストに向けて準備を整える。

ルイス・ハミルトン/ジョージ・ラッセル(メルセデス)

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