【新型コロナ】高級魚メニューで漁業者救え 藤沢のそば店、お手頃価格で

江の島沖で取れたヒラメを手にする「仁や」店主の桑原さん=藤沢市

 新型コロナウイルス禍で需要が落ち込む高級魚を手頃な価格で提供しようと、神奈川県藤沢市朝日町のそば店「仁や」が2月から、江の島周辺で取れたヒラメの天ぷらをメニューに加えた。「冬場のおいしいヒラメを無駄にせず、消費者に届けたい」。外食需要の減退で苦境にある地元漁業関係者の下支えをしたいと話す。

 冬場に取れる「寒ヒラメ」は脂が乗り人気が高く、江の島周辺で取れたものは豊洲市場などを通じ首都圏の飲食店に出荷されてきた。ところが、仁や店主の桑原仁さん(46)は今年に入り、需要が大きく落ち込んでいることを仕入れ先の仲買業者榎本正彦さん(45)から耳にした。

 これまで多いときには1日30~40キロのヒラメを市場に納入し、新型コロナ感染拡大以降も大きな変動はなかったという榎本さん。しかし第6波以降の異変を感じ取っていた。「年が明けて以降は需要が落ち、価格も低下している。以前にも増して会食を控える人が増えているようだ」

 かねて江の島周辺の漁場で取れる地魚を榎本さんから仕入れてきた桑原さん。これまで高級魚を仕入れることはあまりなかったが、いけすの中で出荷を待つ多くのヒラメを見て、新たなメニューに加えることを決めた。

 ヒラメの天ぷらは1枚280円、盛り合わせはエンガワが付いて700円。同店の問い合わせは、同店電話0466(90)5820。

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