前田健太が絶賛の19歳は「怖い存在」 立浪監督も他球団も口を揃えた“強み”

DeNAとの練習試合に先発した中日・高橋宏斗【写真:小西亮】

1軍の対外試合デビューで3回無失点「自分の球を投げられれば、抑えられる」

大器が、覚醒への第一歩を踏み出した。中日の高橋宏斗投手は19日、1軍の対外試合デビューとなるDeNAとの練習試合(北谷)に先発。3回を2安打無失点に抑え、周囲を唸らせた。立浪和義監督も「まずは合格点」と絶賛。最速153キロの豪速球だけじゃない“強み”も見せ、他球団に大きなインパクトを与えた。

ど緊張で「いつもより早めに球場来ちゃいました」という背番号19は、言葉とは裏腹に圧倒的なマウンドを見せた。初回2死二塁の場面を招くも、DeNAの4番・細川をスプリットで空振り三振に。2回2死一塁では8番・知野を内角の直球で見逃し三振に仕留めると、3回は3者凡退に斬った。

最大の魅力は、打者を圧倒する速球。他の投手は出ても140キロ台後半という2月の時期に、悠々と150キロ超え。相棒の正捕手・木下からも「いいラインが出ている。高ささえ間違えなければ抑えられる」と、“無双”のお墨付きをもらった。ベストボールのひとつに挙げた見逃し三振の内角球を始め、示した攻めの姿勢。「ビビってても、自分が2軍に落ちるだけ」と強気を貫く。

さらに、真っ直ぐ以外の武器も見せた。ボール先行になる場面もあったが、結果的には無四球。「自分の球を投げられれば、抑えられると思った」と振り返る。立浪監督も「カウントを悪くする中でフォアボールを出さずに粘れたというのは、ひとつ収穫。コントロールで暴れるという感じでもないんでね。そこは高橋の強み」と大きく頷く。

中日・高橋宏斗【写真:小西亮】

カットボールや追い込んでからのボール球要求の“質”が今後の課題

他球団のスコアラーも「一番は真っ直ぐの強さだけど、ボール先行でも平気でスプリットを投げていた。しかも、いいところに決まっていた」と“崩れない強さ”に着目。警戒レベルを一段階上げたようで「あとは他の変化球でストライクが入るようになったら、十分通用する。怖い存在にはなってくると思う」と言う。

もちろん、課題も少なくない。高橋宏自身も、1球もストライクが入らなかったカットボールや、追い込んでからのボール球要求の精度を例に挙げる。まだ3回を投げただけで「これからレベルが上がってきて、どれだけ抑えられるかが課題になる」と浮かれてはいられない。

ルーキーイヤーの昨季はフォームを崩して悩みの中にいたが、2年目は“ドラ1”らしい姿を存分に見せている。ツインズの前田健太投手が、このタイミングで「中日の背番号19のピッチャー良くないですか?」とSNSで注目したのも大いに頷ける。

開幕ローテ入りを目指し、まずは順調なスタート。「次からも期待が持てるなというボールでした」と、指揮官の評価も右肩上がりが止まらない。エースの大野雄や昨季投手2冠の柳ら先発陣に、さらなる厚みを――。真の投手王国復活へ、育ち盛りの19歳が欠かせないピースになるかもしれない。(小西亮 / Ryo Konishi)

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