「いい顔をしている」 楽天石井監督が全幅の信頼、絶対的守護神の存在感

楽天・松井裕樹【写真:宮脇広久】

チームのリリーフ陣は12球団トップの防御率2.75

楽天の守護神・松井裕樹投手が19日の阪神との練習試合(金武町)で今季初の実戦登坂。1イニングを無難に3人で片づける貫録の投球だった。昨季は2年ぶりにリリーフに復帰し、43試合24セーブ、防御率0.63という12球団のクローザーの中でも随一の数字を残した。26歳で迎える今季は、史上最年少で20代では初の通算200セーブ達成まであと35としており、唯一無二の存在へ充実感が際立っている。

「ユニホームを着てバッターと対戦するのは久しぶり。やっぱりいいなと思いました」。松井裕は気持ちよさそうに汗をぬぐった。

2番手として4回に登場すると、ロハス・ジュニアを内角高めの速球で捕邪飛に。続く小野寺に対してはカウント1-2と追い込んでから、ドラフト2位ルーキーの捕手・安田とサインが合わず時間を要するシーンがあったが、フォークを選択し空振り三振に仕留めた。最後は島田を真ん中の速球で押し込み左飛。スライダー、カーブを含め、変化球も一通り投げた。「ばらつきはあったけれどファウルも取れたし、順調と言っていいのかなと思います」と納得の表情だった。

昨季は防御率0.63も、故障で8月下旬にレギュラーシーズン終了

石井一久監督も「いい顔をしている。去年の今頃は救援に戻って試行錯誤しているように見えたが、今年は何かに追われるような危機感もない」と全幅の信頼を置いている。

昨年は抜群の安定感でチームの躍進を支えたが、8月25日の練習中に右太ももを痛め、早々とレギュラーシーズンを終えてしまった。それだけに今季は「60試合登板と防御率0点台」を目標に掲げる。驚異的な数字に聞こえるが、松井裕自身は既に19歳で迎えたプロ2年目の2015年に達成したことがある(63試合3勝2敗33セーブ、防御率0.87)。昨年もそのままシーズンをまっとうすれば、60試合を超えるペースだった。

キャンプ4日目にはブルペンで、クローザーとしては異例の106球のピッチング。「野球が下手なので数を投げないと」と自嘲的に笑うが、このあたりにも規格外のスケールの大きさを感じさせる。

楽天はちょうど1年前、田中将、岸、涌井、則本ら豪華な先発投手陣が注目されていた。しかし、ふたを開けてみれば、松井裕をはじめ宋家豪、酒居、安楽らの奮闘で、リリーフの防御率が12球団トップの2.75を記録。チームを牽引した。今年も9年ぶりのリーグ優勝を狙う上で、鍵を握る存在となることは間違いない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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