“気持ちよく投げさせる”捕手になれ 新庄監督が谷繁氏に“臨時コーチ”を頼んだワケ

谷繁元信氏(左)と日本ハム・新庄剛志監督【写真:町田利衣】

捕手6人がブルペンで1時間以上に及び指導を受けた

日本ハムの沖縄・名護キャンプで20日、“谷繁塾”が開校した。ブルペンに集結した6人の捕手が、元中日監督・谷繁元信氏が実演したキャッチングを真剣な表情で見つめ、話に耳を傾けた。1時間以上に及ぶ貴重な指導を実現させたのは、新庄剛志監督の強い希望だった。

「谷繁さんって独特で、ピッチャーが投げて、ミットを動かさない。これピッチャーに聞いたらめちゃくちゃ見やすいらしいの。やっぱりキャッチャーはいかにピッチャーが気持ちよくいいボールを投げさせるかがポイントになってくると思う」

昨年12月、「野村克也さんをしのぶ会」で久々に再会して連絡先を交換。ビッグボスが現役時代から「バリバリ日本を代表するキャッチャー。ああ、難しい、いい配球をするなあって。捕ってからも早いし」と一目置いており、年末にオファーして快諾された。応えた谷繁氏はミットを持ち、加藤貴之の投球練習を受けた。また清水優心のキャッチングを見てアドバイスを送り、捕手陣からの質問にも答えた。

何よりも、ビッグボス自身も興味津々で「右手(の位置)どうしてる?」などと質問を重ねた。谷繁氏が小さなミットを使っていることにも「ボールが遊ばないから、すぐ握って投げられると思う」と感心した。

ブルペンで日本ハムの捕手6人に指導する谷繁元信氏(右)【写真:町田利衣】

清水「勉強になりました」、郡「練習していかないと」

谷繁氏は「ワンポイント的なこと。キャッチング、スローイング、足の運びであったり持ち替えるところであったり、あとミットのことであったり。本当に基礎的なことをちょっとアドバイスしたぐらい」と説明したが、3021試合出場を誇るレジェンドの指導は、捕手陣にとって目からウロコだった。

昨季100試合に出場した清水は「ステップを特に教えてもらった。1日やって変わるほど甘くないので、やってみたいなと思います。色々な経験をされている方で、勉強になりました」。谷繁流の小さなミットも「試してみないと分からないので考えてみようかなと思う」と前向きだった。

またプロ6年目の郡拓也は「僕はミットを落としてタイミングを取っていたが、谷繁さんはミットを向けたまま。ピッチャーも見やすいですし、的をつくってあげた方がいいと言っていた。向けている方が投げやすい人がいるんだったら僕らも練習していかないといけないと思う」と話し「ビッグボスが臨時コーチもたくさん呼んでくれるので、野球界関係なく僕らは話を聞けて特別だなというのはあります」と感謝した。

「谷繁さんが今日教えたことが選手に合うかどうかもまだわからない。合わなかったら参考までに。その辺は自分で判断してほしいなと思います。来てもらって凄く選手もプラスになったと思う。できたらね、ファイターズの解説で来てもらって、悪い点、良い点をまたシーズン中もアドバイスしてもらえたらうれしいと思います」とビッグボス。明確な意図を持って“先生”を呼び、成長への種をまいている。(町田利衣 / Rie Machida)

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