<日々全力 瓊浦高バド 林貴昭監督(2)> 真剣 育まれる勝負強さ

実戦形式の練習に励む選手たち=長崎市、県立総合体育館

 林貴昭(48)の指導を受ける瓊浦の選手たちは、とにかく勝負強い。
 それが如実に表れたのが2016年岩手国体。U19日本代表を擁する兵庫に2-1で競り勝ち、少年男子で長崎県勢20年ぶりの入賞を決めた。1勝1敗で迎えたシングルスの最終ゲーム、13-17から追いつき、逆転した劇的勝利だった。昨夏の北信越インターハイも勝負どころを譲らず、春の全国選抜大会3位の高岡第一(富山)を倒して3位入賞を果たした。
 15年、瓊浦赴任初年度の県高総体もそうだった。前任校の西陵との団体決勝戦。2勝2敗で迎えた第3シングルスの最終ゲームを22-20で制した。当時1年生で、のちにU19日本代表入りした村本竜馬(日体大4年)は「先生が本気で環境を整えてくれるから、常に試合を意識する練習ができていた」と振り返る。
 多少の費用がかさんでも、普段の練習から真剣勝負にこだわる。そこに瓊浦の強さの秘訣(ひけつ)が垣間見える。
 練習から試合用のシャトルを使い、羽根の部分が少しでも破損すると「正確なショットが打てなくなるから」とすぐに新品と取り換える。常に最善の状態でラケットを振らせる。だからこそ、精度の悪さが目立てば林から厳しい指摘が入る。これで練習会場の空気は一気に張り詰め、ただでさえハイレベルな部内対抗戦は本番さながらの緊張感に包まれる。
 スマッシュの質、読みと反応、前後左右への揺さぶり-。ネットを挟んで挑戦と失敗を繰り返すうちに、隙を与えない戦い方が身についていく。昨春の全国選抜大会個人シングルスで銀メダルを獲得した田中市之介(3年)は「練習になれば先輩後輩は関係ない。物おじせずにがつがつ攻めるし、負けん気の強さが自然と身につく」と勝負強さの源を分析する。
 真剣勝負は練習だけで終わらない。コートの外でも林は「メンタル強化」を追求する。
 練習道具の準備や後片付けはもちろん、授業態度やあいさつ、礼儀に至るまで、人としてのマナーを3年間、徹底して教育。その時々の状況に応じた行動を、厳しく求め続ける。そうすることで緊張感に慣れ、試合でも自らの精神状態をコントロールできるようになるという。
 日常の積み重ねが、持ち味の勝負強さを育んでいる。(敬称略)

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