ウィットJr.はメジャーデビューに気負いなし 「昨季より楽しみ」

ロックアウト期間中、ロースターの40人枠に登録されている選手はメジャー経験がない場合でもマイナーのキャンプにすら参加できない。その一方で、40人枠登録外のトップ・プロスペクトたちはマイナーのキャンプが本格的にスタートする前のミニキャンプでシーズンに向けた調整を着実に進めている。ロイヤルズのボビー・ウィットJr.もその1人だ。昨季の苦い経験を経て「実力以上のことをする必要がない」ことに気付いたウィットJr.は待望のメジャーデビューに向けて順調なスタートを切った。

「MLBパイプライン」のプロスペクト・ランキングで球団1位・全体3位にランクインしているウィットJr.は30~40人が参加しているミニキャンプのなかで最も注目を集める存在だ。昨季はAA級とAAA級で合計123試合に出場して打率.290、33本塁打、97打点、29盗塁、OPS.936の好成績をマーク。フューチャーズ・ゲームに初出場し、「ベースボール・アメリカ」が選出するマイナーの年間最優秀選手にも選ばれた。

もはやマイナーで証明すべきことは何もないと言っても過言ではないが、昨季は決して順風満帆のシーズンではなかった。スプリング・トレーニングで3本塁打を放ち、開幕ロースター入りの可能性が取り沙汰されたものの、「メジャーでプレーする準備が整っていない」と判断され、AA級で開幕を迎えることになった。アピールしようと必死になり、三振の山を築くばかり。そのとき、スタッフやチームメイトとの会話のなかで「実力以上のことをする必要がない」ことに気付かされた。「実力以上のことも実力以下のこともしなくていい。自分が何をすべきか、自分の仕事は何かを正しく知ること。それが成長なんだ」と重圧から解放されたウィットJr.はその後、素晴らしい活躍を見せたのだった。

デイトン・ムーア編成本部長が「開幕ロースター入りの可能性はある。彼にどれだけ才能があるかは我々全員が理解している」と話しているように、スプリング・トレーニングで結果を残すことができれば開幕ロースター入りの可能性は高い。しかし、「メジャー昇格のタイミングは僕が決めることじゃない。自分のやるべきことをしっかりやるだけさ」とウィットJr.に昨季のような気負いは見られない。「必要な準備はすべてしてきたつもりだよ。昨季は素晴らしい年になったけれど、今季はもっと楽しみだ」と語るウィットJr.は今季メジャーの舞台でどんな活躍を見せてくれるだろうか。

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