菅田将暉『ミステリと言う勿れ』名言5選。整の気づきをくれる言葉たち「真実は人の数だけある」

菅田将暉さん主演で話題のドラマ『ミステリと言う勿れ』。予想外の展開を見せるストーリーはもちろん、主人公・久能整がつむぐ深みのある言葉見どころとなっています。本記事ではドラマや原作内に登場する名言をご紹介します。

田村由美さん原作のミステリーマンガ『ミステリと言う勿れ』。現在、フジテレビ系にて菅田将暉さん主演による同タイトルの実写ドラマが放送中です。

主人公・久能整の独特な視点と、一見とりとめのないおしゃべりが鍵となり事件を解決に導いていく新感覚のストーリー展開と独特の世界観が見どころの本作ですが、この整の言葉の中にはハッとするような格言がいくつもあるのです。核心を突くその言葉は、犯人の心をも解きほぐしていきます。

ドラマ1話では“ゴミ捨て”にまつわるやりとりが話題を呼びました。

ほとんどの家事は妻に任せているが“ゴミ捨て”はしている、と誇らしげに主張する池本(演・尾上松也さん)に対し、整(演・菅田将暉さん)は「ゴミ捨てって家中のゴミを集めるとこから始まるんですよ」「分別できてなかったらして 袋を取り替えて 生ゴミも水切って (中略)そうやってやっと一つにまとめるんですよ」とぴしゃり。このシーンには、「頷きすぎて首もげるかと思った」「ゴミ出しや育児への参加について、妻たちの気持ちを理路整然と、気持ちいいくらい説いてくれる」「とんでもなくいい視点。世の中の男性たちに伝われ」など家事や育児の担い手の多くを占めている人たちから共感の嵐が巻き起こりました。そんな名言が散りばめられている本作品ですが、ドラマだけでなく原作コミックにはまだまだ素晴らしい名言が沢山書かれています。そこで『ミステリと言う勿れ』至極の名言をお伝えします。

「真実は 人の数だけあるんですよ」(1巻)

『ミステリと言う勿れ』1 (フラワーコミックスα) 画像

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まずは「Episode1 容疑者は一人だけ」(1巻収録/ドラマ1話)でのこのシーンから。

かつて冤罪事件を起こした青砥成昭(あおと なりあき)巡査部長が「真実は一つなんだからな」と言い切ることに驚く整。

整は「階段でAとBがぶつかって、Bが落ちて怪我をした時」のシチュエーションを例に解説します。

Bは日頃Aにいじめられていることから、Aがわざとぶつかってきた“事件”だと主張する。

一方でAはたまたまBにぶつかってしまった“事故”だと主張して、そもそも日頃も“いじめ”ではなく遊んでいるのだと言う。

果たして、この場合の真実とは?青砥は「いじめはBの思い込みだから事故」と判断しますが、整はBがいじめられていると感じている以上、いじめていないというのはAの思い込みになると反論します。

このようにAとB、どちらもウソをついているわけではないが、どの立場から見るかによって真実とされるものは変わってくると整は考えます。

だから、「真実は一つじゃない 2つや3つでもない」「真実は 人の数だけあるんですよ」「でも 事実は一つです」と。

某アニメではお馴染みの「真実は一つ」のフレーズですが、確かに事実の背景にある真実は、それぞれの思いや感じ方によって食い違ってくるでしょう。

自分の主観だけで捉えたことが全てではないのだと、ハッとさせられる言葉です。

「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう」(2巻)

『ミステリと言う勿れ』2(フラワーコミックスα) 画像

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続いては「Episode2【後編】犯人が多過ぎる」(2巻収録/ドラマ3話)より。

バスジャックに巻き込まれた整。現場に居合わせた淡路一平(あわじ いっぺい)がいじめから逃げられずに苦しんだ過去たと告白すると……。

「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう」「どうして被害者側に逃げさせるんだろう 病んでたり 迷惑だったり 恥ずかしくて問題があるのは いじめてる方なのに」整がそう素直な疑問をぶつけることで、淡路は“いじめる側こそが病んでいる”という新たな視点に出会い、いじめられていたのは自分のせいではないと気づけた様子。例えばSNSなんかでも、誹謗中傷をされた人に対してと“嫌ならSNSを使わなければいい”という声が少なからず出たりします。自衛も大切なのはもちろんですが、それでも被害者側が嫌な気持ちになった上に不利益を被るのはおかしいという見解が当たり前になるといいですよね。

「子供はバカじゃないです 自分が子供の頃バカでしたか?」(3巻)

こちらは「episode4-2 相続人の事情」(3巻収録)より。

犬堂我路(いぬどうがろ)と縁のある少女・汐路(しおじ)に見初められ、狩集(かりあつまり)家の遺産争いに協力することになった整。

遺産相続候補の一人・波々壁新音(ははかべ ねお)が、ライバルの幼い娘を甘い言葉で釣り、情報を得ようとしているのを目撃した整は「こういうことやっちゃダメです」と止めにかかります。

「子供をスパイにしちゃダメです」「一生悔やむことになる 自分がうっかり話してしまったことを 親の足を引っぱってしまったことを 一生悔やむんです」と、幼な子の一生の傷になってしまうことを説明しても子供にはわからないと聞き入れない波々壁。

整はさらに「子供はバカじゃないです 自分が子供の頃バカでしたか?」と続けます。

『ミステリと言う勿れ』3巻(小学館)

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幼い子供だって、人格のある一人の人間。まだなんにも考えていないように見えても、例えば両親がけんかしているのを見たら泣き出してしまったりするように、大人の言動をよく見て敏感に物事や空気を感じ取り、理解しています。

しかも幼い頃のことって、怖かったり悲しかったり恥ずかしかったり、意外にも嫌な体験の方が強く記憶に残りふと思い出したりしてしまうもの。子供を都合よく使おうとするなんて、言語道断なのです。

「下手だと思った時こそ伸び時です」(3巻)

続いて「episode4-4 鬼の集」(3巻収録)より、お家騒動の渦中にいた汐路にかけた言葉です。

才能がないと思って絵をやめたと語る汐路に整は「自分が下手だってわかる時って目が肥えてきた時なんですよ」「本当に下手な時って下手なのもわからない」「それに気づくのは上達してきたからなんです」「下手だと思った時こそ伸び時です」と言います。

下手だと思うのは自身のレベルを吟味できるほどの力がついているということ。これはなかなかハッとさせられる視点です。

語学でもスポーツでも音楽でも料理でも仕事でもきっと同じことが言えるでしょう。躓きを感じた時は成長の証だと思って、さらなるレベルアップを図っていきたいものです。

「ケンカじゃなく、議論をしてほしい」(9巻)

最後は「episode13-2 誰も寝てはならぬ」(9巻収録)から。

日常的に入れ替わりを続ける瓜二つな双子の少女・鳩村有紀子(はとむらゆきこ)と美都子(みつこ)。

整はその双子と極寒の海の上で夜を過ごす事態に……。

寝てしまわないようにと整は双子に“議論”の練習をさせて時間を潰すことにします。

自分の意見を言うのは大事だが、自分の気持ちとは関係ない意見のやりとり、つまり討論(ディベート)もできるようになってほしいと言う整。

「意見を戦わせているだけなのに つい人格攻撃になったり人格否定になったりします」「ケンカじゃなく議論をしてほしい 意見だけを激しく言い合っても 終わったらケロっと仲良くできる それが理想です」と双子に教えました。

『ミステリと言う勿れ』9巻(小学館) 画像

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違った意見を持つ人たちが、議論の内容とは関係のない部分を否定して叩き合いヒートアップしていく……今のネット社会では、毎日至る所でそんな光景が繰り広げられています。

意見を主張する時は、それに反する考えも一度受け入れて考えてみる。まさに整のように相手の視点に立って物事を考える力と、異なる考えを話すその相手にも心があるのだと忘れないようにすることが大切なのかもしれません。

“気づき”をくれる言葉がいっぱい

今回紹介した他にも、「弱くて当たり前だと 誰もが 思えたらいい」「しきたりとかルールとか伝統とか それって天から降ってきたわけじゃないんで」(ともに3巻)、「一つのことで転んでも屋上から飛び降りたりしないように、選択肢をもっと持てたらいい “何かになりたい”だけじゃなくて“どの場所でどんなふうに生きるのか” その多様性も絶対ほしい」(8巻)など、鋭くも優しさのある格言が次々現れる『ミステリと言う勿れ』。そして、整は何らかのトラウマが影響しているようで、男性社会な職場で一人奮闘する風呂光聖子(ふろみつ せいこ)巡査に「あなたは違う生き物だから 違う生き物でいてください」(1巻)と声をかけたり、「どうしてバージンロードは父親と歩くのが基本なんでしょう(中略)たいてい一番時間をかけて育ててくれてるだろう母親を脇に立たせておくんだろう」(2巻)と疑問を抱くなど、世の“おじさん”にお灸を据えつつ女性に寄り添った発言も多い。

これまで当たり前とされてきた男女の生き方の性差を疑問視し声をあげる人が増えている今だからこそ、なんだか勇気づけられますね。

小さなコマのなんてことない場面でも、整の言葉から得られる気づきがたくさんあります。

ぜひ『ミステリと言う勿れ』ではストーリーはもちろん、整の絶好調なおしゃべりにも着目してみてください。■2022年冬おすすめアニメ&ドラマ化ランキング!『進撃の巨人』を抜いた第1位は?

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ドラマ『ミステリと言う勿れ』放送情報

【公式】月9『ミステリと言う勿れ』第6話60秒PR! 2/14(月)よる9時

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■キャスト

久能整 菅田将暉

風呂光聖子 伊藤沙莉

池本優人 尾上松也

ライカ 門脇 麦

犬堂愛珠 白石麻衣

天達春生 鈴木浩介

青砥成昭 筒井道隆

犬堂我路 永山瑛太

他■スタッフ

脚本 相沢友子

音楽 Ken Arai

プロデュース 草ヶ谷大輔 熊谷理恵(大映テレビ)

演出 松山博昭 品田俊介 相沢秀幸

主題歌 King Gnu 『カメレオン』

(ソニー・ミュージックレーベルズ)

制作・著作 フジテレビ 第一制作部

■原作

『ミステリと言う勿れ』

田村由美

(小学館『月刊フラワーズ』連載中)■公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/mystery/

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