どうなる巨人の正捕手争い 實松バッテリーコーチが求める“勝てる捕手”の条件

巨人・大城卓三(左)と小林誠司【写真:荒川祐史】

昨季は大城卓三が攻守で存在感も横一線の争い

巨人の正捕手争いが激しくなっている。實松一成バッテリーコーチがFull-Count編集部のインタビューに応じ、小林誠司、大城卓三ら各捕手陣が克服すべき課題、また正捕手奪取へ欠かせないポイントを挙げた。

「ポスト阿部」は今年こそ現れるのか。支配下捕手は小林、大城、岸田行倫、山瀬慎之助、萩原哲、喜多隆介の6選手。横一線の争いとはいえ、正捕手に近いのは大城だろう。昨季はチームトップ95試合で先発マスクを被り、リーグトップの盗塁阻止率.447を記録。打率.231だったものの、プロ初の2桁11本塁打とパンチ力もある。では、正捕手の座を盤石にするには何が必要なのか。實松コーチは、あえて課題と成長ポイントを挙げた。

「ブロッキング、スローイングの技術はまだまだアップできると思うし、あとはリードをもっと自信を持ってできるように。言うのは簡単だけど、1つのリードにも裏付けと根拠を示せるように。(周囲から)何かを聞かれても、しっかり答えられる準備をやっていってほしい。そこはレギュラーになるために絶対に求められること。こちらも全力でサポートしたい」

實松コーチが「大城と勝負できる」と期待するのはプロ5年目の岸田だ。昨季の先発マスクは3試合のみだったが、8月中旬から長く1軍帯同。今季から背番号「27」となった。實松コーチはチームのムードメーカーをこう見ている。

「1軍の試合に出るだけの技術はあると思う。スキルアップも必要になるが、次は試合に出た時に結果を出して周りの信用を勝ち取らないといけない。キャンプ、オープン戦からしっかり結果を出すこと」

巨人・實松一成バッテリーコーチ【写真:荒川祐史】

小林誠司には復活が期待される「年齢を重ねれば結果を求められる」

小林にとっては復活のかかったシーズンとなる。昨季の先発マスクは27試合。途中出場を含めて64試合と、2019年から出場試合数は100を割り込んでいるが、1軍での経験は十分だ。今春キャンプは新型コロナウイルス感染のため出遅れたものの、32歳捕手に求められるのは「結果」と實松コーチは説く。

「やはり捕手は勝たないと評価されないポジション。勝てる捕手なら使ってもらえると思う。勝つにはやることがいっぱいある。守備はもちろん、リードや配球、打撃もそう。結果を出す準備をしっかりしていけば……。年齢を重ねれば重ねるほど、結果を求められると思う」

育成出身の2年目・喜多はキャンプ1軍スタート。高卒3年目・山瀬は那覇キャンプで1軍メンバー入りした。實松コーチは「チャンスはゼロではない。いいものを持ってプロに入って経験を積んでいる。1試合でも多く1軍の試合に出られるように準備を」と期待を口にする。ポスト阿部の育成は容易ではないが、バッテリーコーチとして献身的にサポートしていくつもりだ。

「阿部さんのような捕手を育てるのは至難の業かもしれない。そこは1つの目標として、みんなで競争してほしい。捕手は1年でレギュラーというのはいかないポジション。日々の成長、積み重ねがレギュラーに繋がる。コーチとしてできるだけのフォローをしたい」

常勝の宿命を背負う巨人。「優勝チームに名捕手あり」を体現する捕手の台頭が待たれる。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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