コロナ禍 生活インフラ、どう継続? 長崎県内事業者 バックアップ体制模索 公共交通機関やスーパー、ごみ収集…

生活インフラとして欠かせない公共交通機関。感染拡大時の業務継続へ模索が続く=長崎市大黒町

 新型コロナウイルス感染拡大で、公共交通機関やスーパー、ごみ収集など社会経済活動に不可欠な事業者への影響が懸念されている。感染や同居家族との濃厚接触などで欠勤者が相次いだ場合、どういうバックアップ体制を整え、事業を継続させるのか。長崎県内の事業者も模索を続ける。
 県交通局(県営バス、長崎市)は1月下旬から2月上旬、運転士計12人が単発で感染した。運行は休暇予定だった運転士や、運休している高速バスの運転士を割り当ててやりくり。これまで支障は出ていない。
 同局は2009年、新型インフルエンザの流行で運転士の確保が困難になった場合を想定した業務継続計画を策定済み。今回のコロナ禍で適用することはなかったが、第6波を受け、今月計画を見直した。
 これまでは、感染拡大時は平日を3割減の日祝日ダイヤに切り替えるよう計画。今回、まずは2割減の土曜ダイヤにすることを追加した。欠勤者数の目安は特に設けておらず、各営業所の状況で判断する。担当者は「段階的な対応で公共交通機関として利便性を損なわないようにしたい」。
 生活協同組合「ララコープ」(西彼長与町)は先月、クラスター(感染者集団)が発生したスーパー1店舗を臨時休業。他の店舗や配達を担う支所でも、感染した同居家族の濃厚接触者として従業員が自宅待機になるなどの事態が続いたものの、近隣事業所や本部からの派遣でカバー。業務に影響は出なかった。
 広報によると、20年4月以降、新型コロナ対応マニュアルの改定はすでに7回。ライフラインとして店舗、配達の継続を第一に掲げ、本部からの応援態勢強化のほか、店舗では従業員が複数部署の業務ができるよう教育。配達部門も代替者が対応できるよう情報共有を進めているという。
 長崎市中央卸売市場で卸売りを担う長崎大同青果は「食品流通を止めないために」と競りでの密集対策に着手。これまで各品目一斉に開始していた競りの時間を品目別に5~10分ほどずらして実施。競り人を同じメンバーに固定せず、別のチームも編成した。
 ごみ収集業務については、長崎市内は19業者と市直営の2環境センターで分担している。市廃棄物対策課は、コロナ禍で感染者などが何人出ると業務継続が難しくなるか聞き取りを実施。まずは事業者内でのやりくりを求め、困難な場合は環境センターの職員が応援に入ることを検討している。
 ある事業者によると、収集業務は2人一組で収集車に同乗。1人が感染すると同乗者は濃厚接触者として欠勤を余儀なくされる懸念があるという。継続計画の策定は検討しているが「結局人手が必要な仕事。一気に5、6人出たら計画を立てていてもどうしようもない」。感染できない緊張感の中、対策をより徹底し、日々の業務に当たる。


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