気持ちの良い道、素晴らしい景色、美味い飯、これらがすべて揃えば極上の癒しとなることだろう。ここでは旅先や日常生活で発見した全国各地の美味しい物を“ザ・ドライブ飯”として絶景ロードや周辺スポットと合わせてご紹介。
都心から1時間ちょっとで自然溢れる山奥へ
ドライブをしながら美味しい食事を追い求める“ザ・ドライブ飯”。今回紹介するのは東京都と言っても最西部と言える場所に位置する檜原村にある温泉施設「数馬の湯」の食堂だ。数多くのメニューがある中でも私が好んで注文するのは「もつ煮定食」であり絶品なのだ。
いくつかのルートから好きな道を見つける
数馬の湯は以前奥多摩周辺をドライブしていた際に偶然見つけて立ち寄ったことにはじまり、以来10年程通っている場所だ。以前は奥多摩方面からまわる道、あきる野市から秋川傾向沿いに上ってゆく道のどちらかを使っていたが、最近は中央自動車道で上野原まで行き、甲武峠を越えてゆくアクセスを使っている。このルートで行くと都心から1時間半程度で辿り着くことができ、最も時間を短縮できるということと、高速道路と眺望の良いワインディングロードの両方を楽しめるからだ。
山々を越えて辿り着く最高の湯
奥多摩・檜原村界隈はそこが東京都であることを忘れさせてくれるほど豊かな自然が残っており、四季折々の表情を楽しめる。ただし冬場は路面凍結することもあるので慎重な運転を心掛けたい。そもそも数馬の湯は温泉施設であり、最初は湯につかることを目的に訪れていた。そして数馬の湯から数百メートルの場所には、東京都で唯一秘湯を守る会に選ばれている「蛇の湯温泉 たから荘」があり茅葺屋根の風情ある温泉なのだが、”とっておき感”が高いので特別な日の宿泊時に利用。一方、数馬の湯は公衆浴場スタイルによる気軽さや、食堂のメニューの豊富さに味を占めてしまいリピーターとなっている。
トロリとした肌触りの良泉質
数馬の湯は、泉質も良い。アルカリ性単純温泉で、肌をなでるとトロリとした手触りが残る湯だ。山々を眺めながら湯につかることができる露天風呂はやや温めでゆっくりとできるし、目の前の視界もなくなるほどの湯気が立ち込める内風呂は洞窟の様相だ。コンパクトなものだがサウナも水風呂も用意されている。食堂を利用した後に、再度風呂に入ることもできるため、おのずと長居してしまうのだ。
モツ本来のうまみと地産野菜のコラボ
ゆっくりと温泉を楽しんだ後は、食堂へ行きお目当てのもつ煮定食を食べることにしよう。数馬の湯の食堂メニューはドリンクも含めると70種類以上があり、いつも何を食べようか悩んでしまっていた。地元檜原村の名産物であるこんにゃくはもちろん美味しいし、そばやラーメンといった麺類で内側から体を温めるのも好きだ。カツカレーや煮込みハンバーグといった洋食も捨てがたい。その中でこれまで何度も通い辿り着いた逸品、それがもつ煮定食なのだ。檜原村でとれた食材が使われているということにも惹かれるではないか。
私が選ぶ三大もつ煮のひとつに選出
まず第一に、メインとなるもつがふんだんに入っているほか、大根やニンジンも美味しい。さらに上にのせられた長ネギも良いアクセントになっている。若干甘目の味噌が使われており、もつは下処理がしっかりとされていながらも、どこかしらもつ本来のうまみや苦みが感じられる。茶碗にたっぷりよそられた白米は、食べ始める前には多いと思うが、もつ煮と一緒に口にほうりこむと、口の中全体に広がる旨みハーモニーに脳が揺さぶられる。アツアツのうちにかっこみ続けてしまい、最終的にお代わりと言いたくなるほどご飯が進む。
私が好きなモツ煮定食として、群馬の永井食堂と筑波サーキットのドライバーズサロンがあるのだが、それらと肩を並べる美味しいもつ煮なのだ。
走行距離を確認したところ150kmほどで、往復の移動時間は3時間、滞在時間も約3時間の日帰りショートトリップ。快走ルートと気持ちの良い湯、美味い「数馬のもつ煮定食」。今回も満足のいくドライブを楽しめた。
■数馬の湯
東京都西多摩郡檜原村2430
営業時間 10時~19時
休館日 月曜日
入浴料金 大人880円、小人440円
※2022年1月22日現在
[筆者:小松 男/撮影:小松 男]