被爆者・山脇さん講話「平和広げる努力を」 スペインの日本人学校児童ら オンラインで学ぶ

戦争をなくすためには「平和を広げる努力を続けること」などと山脇さんが児童らに語りかけたオンライン画面

 2019年の平和祈念式典で被爆者代表として「平和への誓い」を述べた山脇佳朗さん(88)が17日、スペインの日本人学校の児童ら41人にオンラインで被爆体験を語った。児童らに「戦争や原爆をなくすためにできることは何か」と問われた山脇さんは「世界中の国々の人と交流する機会を持ち、平和を広げる努力を続けること」と語りかけた。
 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館では被爆体験を語り継ぐため、国内外に被爆者らを派遣している。ただ新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一昨年から海外への渡航を見合わせていた。国外へ体験を語る機会を設けようと、長崎とゆかりのあるスペインの日本人学校に同館が打診し、実現した。
 バルセロナとマドリードの日本人学校から小学1年~中学2年生が参加した。山脇さんは当時11歳で、爆心地から2.2キロ離れた自宅で被爆した。原爆により亡くなった父の遺体を自ら火葬したものの、完全に焼き切れず「自分のお父さんかと思うと情けなくてしょうがなかった」と険しい表情で語ると、児童らは真剣な様子で聞き入っていた。
 講話後の質疑応答で、児童らから「戦争を経験した山脇さんにとって命とは」など10以上の質問が上がった。山脇さんは「大切なもの。原爆みたいな残酷な兵器で一度に大量な人を殺すことがないようにすべき」と語った。
 講話終了後、山脇さんは取材に、新型コロナで長崎を訪れる生徒が減っているが「回復したら原爆資料館を見て核兵器の残酷さや非人道性を深く理解し、核兵器はなくすべきという思いを強くしてほしい」と期待。今後は「オンラインを利用した活動を広げてほしい」と話した。


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