<日々全力 瓊浦高バド 林貴昭監督(5完)> 信条 毎年毎年が勝負

先を見るのではなく、毎年、最高の成績を目指して指導を続ける林=長崎市、県立総合体育館

 林貴昭(48)は瓊浦男子バドミントン部を全国上位常連に育て上げたが、まだ、主要大会で団体優勝を果たせていない。最高成績は2018年の全国選抜大会の銀メダル。「今年こそチームで日本一」。悲願へ向けた挑戦は現在進行形だ。
 今季の戦力も徐々に上がってきた。代替わりした後の初戦となった昨年8月の全国私立選抜大会を制すると、11月のALLJAPAN選抜大会で準優勝。どちらもライバル校が主力を温存していたものの、新チームも瓊浦が国内屈指の有力校であることを証明した。
 その後も昨年12月の九州選抜大会で団体3連覇を達成。主将の櫻井煌介(2年)は個人シングルス、南本和哉(2年)と組んだダブルスと合わせて3冠に輝いた。春の全国選抜大会に向けて弾みがつく結果を出した。
 そんな右肩上がりの成長曲線を描き、厚い選手層を誇るチームではあるが、部員数自体は決して多くない。現1、2年生は15人。コロナ禍で練習試合も満足にできない状況だ。それでも、激しいチーム内競争、部活引退後も練習に参加する現3年生8人のおかげで、強化は順調に進んでいる。林は「今の段階を見る限りでは、まあまあいい線に乗ってきている」と手応えを口にすると同時に、こう続ける。
 「本番が近づくにつれて不安を抱える指導者も多いと思う。でも、私は逆。本番が楽しみ。どれくらい力を出してくれるのか、いつもワクワクしている」
 毎日の指導と選手への信頼に裏打ちされた自信がプラス思考を生み、生徒たちにいい影響を与えているのだろう。それが瓊浦の勝負強さの秘訣(ひけつ)なのかもしれない。
 1999年、26歳で高校教諭となり、気がつけば23年がたった。「熱い気持ちを生徒に向けること」を信条に指導を続け、生徒たちをバドミントンの選手としてだけではなく、社会で役に立てる礼儀正しい人間になるように促してきた。
 指導者として脂が乗った時期に差しかかってきた今、林自身に将来のビジョンは「ない」という。「毎年毎年が勝負。その年にできる最高の成績を目指してきたし、これからもそうしていく」。日々全力を注ぎ続けた結果、日本一をつかめる。そう信じている。(敬称略)

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