鷹は世代交代できるのか? 藤本監督も苦言、浮き彫りになるベテランと若手の“差”

試合後にミーティングを行うソフトバンクナイン【写真:福谷佑介】

24日のロッテ戦後に藤本監督も苦言「気持ちを全面に出してほしい」

24日に行われたロッテとの「球春みやざきベースボールゲームズ」に5-10で大敗したソフトバンク。前日の西武戦でも大敗を喫しており、2試合続けて内容の乏しい試合に、藤本博史監督は「気持ちを持ってやってもらいたいと思いますね。単に打席に入って結果だけを求めるように見えるし、投手もただ投げているだけ」と、競争の渦中にある若手への苦言を呈していた。

ソフトバンクの今キャンプのテーマは「競争」だ。主力が高齢化してきており、世代交代は近年叫ばれてきた課題だった。レギュラーが確定しているのは柳田、甲斐、栗原の3人だけ。あとのポジションは誰が奪い取ってもおかしくないのだが、アピールできている若手がほとんどいない、というのが現状だ。

例えば内野手。昨季から1軍で試合に出ている三森や中堅の高田が結果を出してアピールしているが、若手は精彩を欠く。三塁を狙うリチャードはヒットこそ出ていても、インパクトに欠け、この日も「自分のことで精一杯ということだから、それじゃ野球にならない」と藤本監督からお叱りを受けていた。三塁で目立つのは大ベテランの松田で、紅白戦から結果を残している井上も、松田と比べると見劣りしてしまう。

外野手でアピールしているのはレギュラーを狙う上林、序盤は中堅手での起用が見込まれる牧原大あたり。レギュラー争いに食い込んでくることを期待されている佐藤直や柳町、真砂といったところは物足りない。投手陣でも先発ローテを争う田中正、杉山、育成の藤井らが結果を残す一方で、前日に投げた笠谷やこの日の大関は四球が絡んで失点を重ねていた。

目立つのはベテランや1軍実績のある選手で「ふるいにかけられる」

藤本監督の口からは苦言が並んだ。

「1人1人がね。佐藤直とかね、2番で最初に四球選んだけど、その後の打席は集中力あるのかな、と。塁に出てやろうというのがもっともっと必要。リチャードはロマン砲とか言われていて、練習でやっているけど、試合で結果が出ないとどんどん下を向いていく。今やっているところなんだから、三振でも胸張ってやればいい。逆に、佐藤直は三振して胸張れるタイプじゃない。タイプごとに姿勢を見せてほしい。個人が考えたバッティングをしてくれないと打線にならない」

「投手がビッグイニングを作るとサインも消えてしまう。大関はああいうビッグイニングを作ってはダメ。エラー絡みとはいえ、最少失点で抑えるとかね。ダラダラと、自分も軽く投げて。気持ちの問題。周りの野手も声かけしてやるとか、ワンテンポ置いてやるとか、そういうのも見えなかった。気持ちで出られたら練習せんでいいと言われるかもしれないけど、気持ちというものを全面に出してもらいたい」

気持ちの見えない若手たちに対し、松田がチャンスで適時打を放ったり、中堅の高田や牧原大がその役割に応じた仕事を果たしたりする一方で、多くの若手たちの漫然としたプレーに藤本監督も不満を露わにする。ポジションは与えられるものではなく、奪うもの。奪えるだけのものを示せている若手は少ない。

キャンプインから24日間が経過し、26日からはオープン戦が始まる。競争の時間は少なくなり、チームは開幕に向けた調整へと移っていく。「キャンプも終わりかけで、そういうことしていたらふるいにかけられる」と藤本監督は厳しく言う。このままだと、新顔が台頭するどころか、開幕時の顔ぶれは昨季と大きく変わらないのでは……。そんな危機感さえ感じる対外試合の3試合だった。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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