「松浦の極み」販路拡大へ注力 アジフライに続く特産品づくり目指す

「松浦の極み」の御厨ぶどう(上段左からシャインマスカット、巨峰、安芸クイーン)。下段はアールスメロン、キンショーメロン

 長崎県松浦市は2020年度から取り組んでいる産品戦略推進事業「松浦の極み」の知名度アップと販路拡大に力を入れている。「松浦の極み」は「聖地」宣言で一躍注目されたアジフライを含む、収量や品質で地域のナンバーワン、オンリーワンの産品12品目の愛称。既にふるさと納税の返礼品として活用しているほか、1月には市内のホテルで、ハウステンボスや大手百貨店、スーパーなど4社の買い付け担当者(バイヤー)と、地元生産者10社との商談会をリモートで開催。アジフライに続く特産品づくり、産地づくりを目指す。
 12品目はアジフライのほか、アールスメロン、キンショーメロン、御厨ぶどう、アジ、サバ、トラフグ(養殖)などの鮮魚や加工品、いりこ(煮干し、シラス)、サバ缶、青島かまぼこ、地元の農産物を活用した菓子「おさんじ」(3時のおやつの意味)、鷹島の阿翁石を使った石工品。
 商談会ではゴマサバや天然アジの漬け丼、トラフグのセット、アジフライ、サバ缶などの水産加工品が贈答用や業務用として成約の可能性があることが分かった。アールスメロンも「魅力的な商品」として評価が高く、サンプル発送や産地視察の要望が相次いだ。
 赤土土壌でハウス栽培されるアールスメロンは松浦を代表する農産物。春作、秋作合わせて年間出荷量43トン。1株から一玉だけという栽培法で、特にえりすぐられたメロンは「爽潤果(そうじゅんか)」としてブランド化。糖度15度以上は「プレミアム爽潤果」として高級贈答用で取引されている。
 だが、メロン農家は高齢化、後継者難で生産量は先細り傾向。流通もこれまで県内の市場中心だった。市地域経済活性課や農林課では「知名度や生産量では茨城や北海道、熊本など他の産地に太刀打ちできない。糖度や形、大きさをそろえるなど品質の向上で付加価値を高めるほか、どう見せるか、売り込むかが課題」とした上で、「安定した取引先が確保できれば、メロン農家への新規就農や産地の活性化にもつながる」と期待する。
 商談会に参加したハウステンボス管理本部調達課の小島善文さん(56)は「直営のレストランや店舗に県内の食材を仕入れている。松浦の産品についてもサンプルを送ってもらい味を確認した。社内で協議しながら少しずつ導入していきたい。生産者には業務用の対応ができるのか情報のやりとりをしたい」と話した。

バイヤーとリモートで商談する地元生産業者=松浦シティホテル

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