植物由来繊維で「名札」も脱プラ 「へいわ」(宮崎市)開発販売

植物由来の繊維「セルロースナノファイバー(CNF)」を使ったネームプレートの販売を始めた池尻浩彰社長

 ゴム印や印刷などを手掛ける「へいわ」(宮崎市、池尻浩彰社長)は、植物由来の繊維「セルロースナノファイバー(CNF)」を使ったネームプレートを開発し、販売を始めた。環境に優しい上、高い強度を備えた最先端の素材。SDGs(持続可能な開発目標)の理念にもかなう「脱プラスチック」で、多様な商品展開が期待できそうだ。

 同社によると、CNFによるネームプレート作製は県内初で、全国でも珍しいという。

 CNFは静岡県の製紙メーカーが開発。微生物の力で分解され紙よりも早く土に返るのに加え、鉄の5倍という強度を持つ。注目すべき素材だったが、開発当初は安価なプラスチックに押されて動きは鈍かったという。

 注目が集まったのは2015年に国連がSDGsを提案してから。へいわでは約5年前に購入し、紙クリップを試作するなどしていたが、サステナブル(持続可能)な商品への関心の高まりを受け、ネームプレートの開発に乗り出した。

 繊維質の硬いCNFを加工するには、カットと印刷の技術が鍵だった。同社には国のものづくり補助金で購入した加工用レーザーがあったため、切断については難なくクリア。印刷については20年3月、多様な素材に印刷できるUVプリンターを購入したことで可能になった。特殊素材のため調整を重ねながら、独自のノウハウでネームプレートを完成させた。

 商品名は「ファイバーネーム」。縦3センチ、横7センチ、幅0・2センチで770円(印刷代込み)。名前などデータの作成費は別途必要。既に宮崎太陽銀行が採用を決め、今春から全行員約800人が着用するという。

 県内外の企業に納品済みのプラスチック製ネームプレート3万個超についても、CNFへの切り替えを勧めたい考え。池尻社長は「CNFは100%植物由来で環境に優しい。少ない数でも対応できるのでぜひ利用してほしい」とし、「将来的にはいろんな商品を展開できるのでは」と話している。

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